2016年10月07日 公開
2022年10月27日 更新
この「情報が時間順に並んでさえいれば、検索は容易になる」というのは、仕事の大半が紙で動いていた時代から普遍の真理であり、野口氏が『「超」整理法』で紹介した「押出しファイリング」の手法は、まさにそれを応用したものだった。書類を封筒に入れ、本棚の左から順に並べていくという極めて単純な手法により、書類の要・不要をいちいち判断しなくて済むというアイデアは当時大きな話題を呼んだ。
「よく『不要な書類は捨てましょう』と言いますが、問題は『何が不要なのかがわからない』ということです。押出しファイリングのノウハウは、この問題に強力な答えを示しました。それは、新しいファイルと使ったファイルを一番左に置くようにすれば、『左にあるファイル(=最近使ったファイル)』は必要である確率が高く、『右へ移動したファイル(=一定期間使わなかったファイル)』は、いらない確率が高いということです。
この手法は、人間の行動に関する法則を利用しています。人はある仕事に取りかかっている期間、特定の資料やデータを繰り返し使う。しかし、その仕事が終われば使わなくなる。だから、使うたびに棚の左端にファイルを戻せば、自動的にワーキング・ファイル(=稼働中の書類)を選別できるのです。
こうして説明すると当たり前のようですが、なんらかの法則を応用したノウハウは強力なものです。それは数学の問題を解く際、定理を応用すれば、ある地点まで論理をジャンプできるのと同じこと。あるいは、テコの原理を用いれば重いモノを簡単に持ち上げられるのと同じことです」
更新:11月22日 00:05