不動産投資に興味はあるけれど、そもそもどんな投資手法で、どのように始めればいいのかわからない。そんな初心者に向けて、不動産投資の基本知識と、大切なことや気をつけるべきことを、不動産コンサルタントの長谷川高氏にうかがった。
株式やFXは、短期間で資産を2倍、3倍に増やす可能性もあれば、2分の1、3分の1になるリスクもあります。一方、国債や定期預金は、元本が保証されるものの超低金利。賃料を得ることを期待し不動産に投資する不動産投資は、物件の価値が大きく跳ね上がることはありませんが、家賃という収入が得られ、さらにどんなに下落してもその価値がゼロにはならないミドルリスク・ミドルリターンの資産運用法です。
しかし、投資する金額が高額であることや、株式などに比べ現金化するまで多少時間がかかるデメリットもあるので、最初に、空室や家賃低下、地震などに対してリスクヘッジをきちんと考えることが大切です。
大前提として、ある程度の資金があることが条件です。頭金が1~2割でもローンが組めることがありますが、数年後に金利上昇や空室が生じたときのリスクを考えると、物件価格の3分の1程度は自己資金を用意するのが安全と言えます。
さらには実地訓練も必須です。本やセミナーで勉強したら、多くの物件をめぐって見る目を養い、複数の不動産業者から話を聞きましょう。不動産投資を成功させる秘訣は、良い不動産業者をパートナーにすること。また、第三者的な立場からアドバイスをしてくれるコンサルタントを見つけることも重要です。
不動産市場が沸騰している今、仲介業者には投資物件を求める依頼が増えています。優良物件情報が入ってきたとき、最初にどの投資家に連絡するかは業者の気持ち次第。条件がほとんど変わらないとしたら、やはり好感を持っている投資家が優先されるのです。
物件を紹介されたら、たとえ興味がない物件でも感想を返信だけはするなど、日頃のやり取りでのビジネスマナーは必須です。その中で、なんとなく馬が合ったり、率直に話し合える担当者に出会ったならば、その縁を大切にしましょう。なお、契約を急がせたり、物件の問題点を明確に説明できない不動産業者は要注意です。
物件選びで最も重要なのは「立地」です。建物自体は年々価値が下がっていきますから、土地の持つ魅力、つまり「どこに買うか」が肝心です。人口縮小が進む今、どんな物件でも借り手がつく時代ではありません。不動産投資で一番怖いのは空室ですから、多くの借り手が集まる「立地の良さ」は最高のリスクヘッジになります。
現在十分な賃貸の需要があり、さらに、将来においても人口が減りにくいエリアで、物件数と賃貸需要の需給バランスが将来にわたって崩れないであろうエリアを探しましょう。
東京などの大都市がお勧めですが、東京でも都内であればどこでもいいわけではありません。都心・城南エリアをはじめ、自由が丘・恵比寿・中目黒・吉祥寺など、女性誌でよく特集されるようなエリアは人気が高く価格が下がりにくい。ただし価格が高いのが難点です。資金が少ない場合は逆張りの発想を。今は多少寂れていても、再開発地区、新駅設置予定など成長を見込めるエリアがあったら、狙い目かもしれません。
一方、地方都市はほぼ例外なく人口減少をたどっており、リスクは高め。実家があるなど、ある程度の土地勘があるケース以外は投資リスクが高いと言えます。
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更新:11月21日 00:05