2016年05月06日 公開
2017年10月03日 更新
そもそもイランの石油は、イギリス人が発掘。ただ、あろうことか利権の85%も摂取します。しかも財務報告をしないというボッタくり商法。
業を煮やしたイランは、石油会社の国有化を断行。巨万の暴利を奪われたイギリスは、イラン石油の不買運動を世界に展開する経済制裁。輸出が激減したイランは、在庫を抱えて財政破綻まっしぐら。
ここでやおら立ち上がったのが、テヘランのアメリカ大使館です。
亡命中だった以前の独裁者「シャー」を呼び戻し、玉座に配置。
国王の「シャー」は返り咲きのご恩に報いるべく、アメリカ人を大量に招いて急激な西洋化をはかります。
ミニスカートの女性が闊歩し、保守的なムスリムの反感を爆買い。秘密警察が独裁政治をサポートしますが、時流に付いて行けない国民の怒りが爆発。国王自らボーイング727を操縦してエジプトへ亡命するという、007並みの活劇。これが、イスラム革命です。
イランをイラン人に奪われたことで再び発令された経済制裁は、アメリカ大使館人質事件や核疑惑などの紆余曲折を経て、やっと去年、解除が発表されましたが、執行はまだ先のこと。
かような歴史認識の末端に、我が家の窮乏があります。
ムスリムの情けにすがり、無料民泊、無料ご飯で凌いでいます。
道路標識までカリギュラフィーされたペルシャ文字。標識の緑色は、アメリカの置き土産と見ました。
長らく異文化との接触が少ないせいか、珍しいものが珍しいイランです。
どこの観光地へ行っても、遺跡以上に人気のある観光スポットはボクらのご本尊。
お、面白い動物を見つけたぞって顔して、好奇心丸出しで近寄って来ます。
写真を撮るより写メされるほうが多く、スマホを構えて順番待ちする始末。
敵国語の「Welcome to Iran!」を合い言葉に、案外人懐っこいイラン人なのです。
写メをしても、どこから来たのか質問してくれません。中国人と決めつけている模様。
バザールを歩けばあちらこちらから声を掛けられ、不思議とダルビッシュ選手の親戚が多いです。ほぼ100%絨毯屋です。
「ちょっと見るだけ、見るだけだから」と、親戚の方に営業されます。
「現金がなくてね。クレジットカードも使えないし」
とお誘いを断れば、お金がないなら用立てましょうと、金策を提案してくれる親切な営業力。
経済政策の渦中、どんな裏技を披露してくれるのかと期待したら、イランでは御法度の「PAYPAL」でした。
カナダの某会社に「PAYPAL」で支払いすれば、その金額分をイラン通貨でキックバックしてくれるマネーロンダリングです。イランの絨毯屋とカナダの某会社は、地下銀行で繋がっているのでしょう。
「でもね、イランはインターネット規制があるから、アクセスできないじゃないですか?」と問えば、即座に「VPN」という秘技でらくらく接続。
そんな技があるから、禁止されているFACEBOOKから友達申請してくるのですね。
ナニを訊ねても心良く答えてくれる良心的な絨毯屋ですが、「で、手数料はいくらなの?」という質問だけは耳に届きません。
そのご都合主義的難聴に、かれらの高い利益率が垣間見えます。
耳の穴をかっぽじるがごとく「で、手数料は?」と繰り返すと、やっと鼓膜が震えたようです。心から申し訳ないという顔をして、仲介業者に摂取される手数料の数々を並べ立て、遺憾の意を表明しながら自白した手数料は、2割。
高っ!
秒速でご辞退申し上げました。
更新:11月22日 00:05