2016年04月06日 公開
2017年10月03日 更新
日銭を稼ぎながら世界をさ迷い、10分の1世紀と少々。
吹けば飛ぶような軽自動車に、とるに足らない家財道具を積みこみ、サハリンからアフリカを目指してハンドルを握っています。
ブレーキを踏むたびに、お尻の下からマジンガーZが階段から転げ落ちたような音がしますが、妻Yukoともども元気です。
道中、棚からぼた餅的一攫千金を狙って株を購入。家訓「慌てる乞食は貰いが少ない」のお陰で、売り時期を逃しました。ババを掴んだまま、中央アジアの西の果てまで転がっています。
トルクメニスタンの男性/市場で撮影
旧ソ連が後生大事に育んだ、中央アジア。解散後、独自に進化した独裁国家がウリです。
先月は、拷問と強制労働で名を馳せたウズベキスタンをレポートしました。
大統領は、対立候補ですらうっかり投票してしまう天下無敵のイスラム・カリモフ氏。任期が切れても選挙すら行なわれない人気者で、終身大統領を断わっていながら在位26年目。
ぜひ武田信玄や諸葛孔明に続いてほしいものです。
さて今月は、「裕福な北朝鮮」としてもてはやされるトルクメニスタン。
初代大統領ニヤゾフ氏は、一国の長とは思えぬ独創的な価値観で、えっ、それってアリ?的なユニークな政策を次々と打ち出したアイディアマンです。
一党独裁と見破られないよう、与党の地方幹部を集めて野党とする斬新な政権運営。
何かとすり寄ってくるロシアをかわすため、永世中立国を宣言し、国連に認めさせた手腕。旧ソ連の寄り合いグループ「CIS」の集団安全保障条約に加わらず、トランプのババ的ポジションを獲得します。
ニヤゾフ流「風になびかない風見鶏」として、派閥にとらわれない外交方針です。
軍の最高司令官を兼任し、独裁者としてクーデター防止に努めます。
同業の毛沢東を真似て、自身の肖像画を街中に貼りまくったのはニヤゾフらしくない安易な策ですが、銅像で勝負しました。
スターリンにも金正日にも自由の女神にも負けない、目に痛々しいほどに豪華な黄金製です。
ただぼんやり立っている愚像ではありません。太陽を指差してぐるぐるまわる、日和見黄金像なのです。
2代目大統領がこの黄金像を撤去したときの理由が「首都の景観向上」とは、驚くばかりです。
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更新:11月25日 00:05