2016年06月11日 公開
2016年11月14日 更新
上司や取引先の言動に振り回されて、毎日イライラ。ストレスが溜まって仕方ない……。こんな状況から脱却するには、どうしたらいいのか? 対人関係の専門家・伊庭正康氏に対処法をうかがった。
「言っていることがコロコロ変わる」「いくら意見を言っても耳を貸さない」「物事が決められない」……。こんな上司や取引先に振り回され、ストレスを溜めている人は多いかと思います。
しかし、振り回されて、ストレスが溜まるのは、相手が悪いのではありません。互いの価値観の違いによるのです。
米国の産業心理学者ディビット・メリルによれば、人には、大きく分けて次の四つのタイプがあるといいます。
(1)ドライバー(勝負重視型)
(2)エクスプレッシブ(注目重視型)
(3)エミアブル(気持ち重視型)
(4)アナリティカル(理論重視型)
この四つのタイプは、それぞれ、物事の判断基準や好みのコミュニケーションのスタイルが異なります。たとえば、企画を提案されたとき、ロジカルに判断する人もいれば、「ワクワクする」など直感的な判断をする人もいます。
この価値観の違いが、「振り回された」という感情を生み出します。たとえば、合理主義の人が完璧に理論武装した企画書を出したのに、上司に「ワクワクしないな~」などと直感的な理由で却下される。すると、企画を出した人は、「意味不明なことを言われて振り回された」と感じることでしょう。
このように、自分と異なるタイプの考え方には違和感を覚えるものです。とくに、四タイプをマトリックスにしたとき(冒頭の図)、対角線上にいるタイプ同士は相容れず、嫌悪感を抱きやすい。では、どうすれば、そうならずにすむのか。最も手っ取り早いのは、あなたが歩み寄ることです。
相手のタイプを理解すれば、相手がなぜそんな言動をするのかがわかり、振り回されることがなくなります。その人の価値観に合わせてコミュニケーションを取れば、話が通じやすくなるので、ストレスは溜まらなくなるでしょう。
それでは、タイプごとの考え方の特徴と、その対処法を、具体的にお話ししましょう。
(1)ドライバー(勝負重視型)
何よりも「勝負には勝つ」「決めた目標は必ず達成する」と考えるのが、このタイプ。はっきりと自己主張し、目標達成に向けて最短距離の方法を取ることを好みます。要は、合理主義でせっかち。相手の気持ちをあまり配慮しない傾向があります。
ドライバーが周囲をイラつかせるパターンの一つが、「意見を言っても耳を貸さないこと」です。自分のやり方を押しつけるので反発を招きがちですが、なぜそうするのかといえば、自分でリスクを取って判断したいから。それで失敗したら、全責任を負う覚悟を持っています。
このタイプの人とうまくやっていくポイントは、自分で決めてもらうこと。具体的には、「複数の意見や案を用意する」ことです。その中から選んでもらうようにすると、「自分で判断している」と感じられるので、スムーズに仕事が進むでしょう。
「いいから、とっととやれよ」「つべこべ言わずにやればいいんだ」などと命令口調なのもドライバーの特徴です。これは相手が嫌いなわけではなく、早く仕事を進めたいだけです。深刻に捉えてはいけません。時には、「この人をサポートしてあげたい」という感情が背景に隠れていることもあります。ですから、ムカッときても、「かしこまりました。ありがとうございます」とお礼を言うくらいが正解。ドライバーの人の命令は筋が通っていることが多いので、冷静になって取り入れれば、物事が好転するものです。
仕事中の雑談は「ムダだ」と嫌うので、しないほうが賢明です。
更新:11月25日 00:05