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心理学者が教える「先送りゼロ」のやる気アップ法

2016年01月18日 公開
2023年05月16日 更新

榎本博明(心理学者)

榎本博明

ポイント6
タスクを細分化して成功体験を増やす

近年、とりわけ若い人に顕著に見られるのが「成長したい」という想いです。仕事を通して自分自身を高めたいという欲求が強いのです。そういう人の場合、この成長欲求を刺激することでモチベーションが高まります。成長が実感できなければ、やる気を失っていきます。

成長を実感する場面として代表的なのが、できなかったことができるようになったとき。小さくてもいいので、成功体験を積み重ねることが重要になります。

大きなタスクは失敗のリスクが高いですし、スパンの長すぎるタスクは途中で挫折しやすい。タスクはできるだけ細分化し、「今日はここまでできればOK」という小さな目標を設定すべきです。それを着実にクリアするごとに成功を実感できます。

 

ポイント7
マイナスの出来事に感情的に反応しない

失敗や上司の叱責など、マイナスの出来事によって仕事へのやる気を失う人も多い。その背景には、「ほめて育てる文化」の弊害が見られます。いつクビになるかわからない、実力主義の欧米企業の社員なら、ほめることでモチベーションを上げる弊害は少ないでしょう。

しかし、雇用が比較的安定しており、競争よりも和を重んじる日本企業では、あまりにほめると甘えが生じる。それで、過剰に打たれ弱い人が増加しているのです。

打たれ弱い人は、出来事の捉え方を変える必要があります。出来事への反応には、感情反応と認知反応の2つがあります。前者は、マイナスの出来事に対して「もうだめだ」「なんでこんなことに」などと感情的に反応すること。

後者は、「どこがまずかったのか」「今できることは何か」などと考える分析的な反応。どちらがモチベーションを維持しやすいかは言うまでもないでしょう。感情は脇に置き、客観的視点で次を考えることが大切です。

逆に、良い出来事には大いに感情で反応するべき。自分の反応の傾向を踏まえて、「マイナスには認知反応、プラスには感情反応」と使い分ける練習をしましょう。

(※『THE21』2016年1月号特集[仕事を「すぐやる人」になる方法」より)

著者紹介

榎本博明(えのもと・ひろあき)

心理学者

1955年、東京都生まれ。東京大学教育心理学科卒業後、〔株〕東芝市場調査課に勤務。その後、東京都立大学博士課程を経て、大阪大学大学院助教授などを務めたのち、MP人間科学研究所代表に就任。ビジネスシーンを中心に、社会生活を送る中での人間心理の研究を行ない、部下育成やメンタルコントロール術を多くの企業に指導している。著書に『「上から目線」の構造』(日経プレミアシリーズ)、『モチベーションの新法則』(日経文庫)など多数。

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