2015年10月17日 公開
2023年05月16日 更新
実は私もちょうど彼と同じぐらいの年齢のとき、イルミネーションを見て、まったく同じことを言っていた。当時、テレビ番組を作るのに夢中で、休む間もなく、ロケ~スタジオ~編集室~会議室~自宅~ロケ~というサイクルでぐるぐる回っているだけで、それ以外の場所に立ち寄ることはほとんどなかった。
食事はホカ弁か牛丼。クリスマスも車で移動中に街の灯りを目にするだけだった。
「あ~あ、街はクリスマスか。いいなあ」
そう言っている自分にハッとした。テレビは世間の人を楽しませるためのものだ。ましてや私が作っているのは面白おかしいバラエティ番組だ。そんな人間が街ゆく人たちをうらやましがっているのはどういうことだ? テレビを見ている人たちは、「こういう番組を作っている人たちは、さぞや楽しいんだろうな」と思ってくれているに違いない。日常生活の楽しさを忘れてしまっては、楽しい番組作りなどおぼつかない。テレビという大好きな場所で仕事をさせてもらっていることに感謝して、今いる場所に感謝しよう。
その思いを忘れなければ、クリスマスはもう一度輝いて見えるはずだ。
「ああ、今日はいい天気だ。気持ちいいなあ」
朝、窓を開けて、そう口にしてみることで新しい一日が始まる。それが新たな40代への旅の第一歩だ。
「もう40だし……」と思った瞬間、すべてが終わる。
楽しそうなことには大人げなく飛び込んでいけ!
(『THE21』2015年6月号より)
更新:11月24日 00:05