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「今、どんな企業からも求められる人材」の条件とは?

2015年08月10日 公開
2015年08月18日 更新

武元康明(サーチファーム・ジャパン代表取締役)

「引く手あまた」な人材の条件とは?

優秀な人材を探し出し、企業と引き合わせる「エグゼクティブサーチ」(ヘッドハンティング)業に携わる武元康明氏。その武元氏によれば、「ここ10年で『求められる人材の質』が大きく変化した」という。その背景には何があるのか。そして、我々がどこへいっても「引く手あまた」な人材になるためには、どうすればいいのか。あらゆる業界の動向に精通する武元氏に、「真に評価される人材像」を聞いた。

 

この10年で求められる人材は大きく変わった!

企業からの求めに応じて優秀な人材を見つけ出し、引き合わせる「エグゼクティブサーチ」。国内において抜群の実績を誇るサーチファーム・ジャパン(株)を率いる武元康明氏は長年、人材登用の最前線で、企業が求める人物像の変化をつぶさに感じ取ってきた。

「今から10年前の2005年から、大きな変化が始まったと思います。それはひとことで言うと、『構造転換』。従来の『ヒト、モノ、カネ』から『組織の縮小化、早い意思決定、知恵、創造力』へと変化していきました」

それに応じて、同社が企業から受ける依頼の傾向にも、さまざまな変化が現われた。中でも顕著に見られたのが、「デジタルへの移行」に伴うニーズだ。

「10年前から現在にかけて、世の中はデジタル社会へと大きく変わりました。我々が扱う案件にも、WEB業界やゲーム業界の求人が増え、製造業でも開発エンジニアの需要が高まりました。

また、効率的な管理体制が重視され始めたのもこの頃です。そのため、大企業が人員整理をし、拡大を狙う地方企業へ人材が流れる案件もありました。大企業が弱っている間に、地方企業は知名度を上げ、上場する力を蓄えたい。そのため、営業で指揮が執れる人材を欲していたのです。
いずれにせよ、最新技術の知識が必要となり、従来の価値観が根本から変化した時代でした」

 

女性のニーズが高まっている理由とは?

さらに2008年のリーマンショック、そして2011年の東日本大震災も、変革を推し進める大きな要因となった。

「この二つの事件により、企業は『リスク分散』を意識するようになりました。拠点を一極集中させず、地方や海外に分散させる動きが強まったのです。『グローバル人材』へのニーズが急激に高まった背景には、このことも挙げられると思います」

グローバル化と並行して、女性管理職へのニーズも近年、急激な高まりを見せている。

「これまでもBtoCの企業では女性管理職の登用が進められてきました。しかし、最近は基幹産業、とくに重工業が熱心に女性管理職を求めています。この背景には安倍政権の政策の影響があると思われますが、もう一つ、大きな理由があります」

それは、多くの女性が持っている「ダイバーシティへの対応力」だという。

「グローバル化によって、違った国籍や宗教の人々が混在するダイバーシティは今後ますます進むでしょう。そのメンバーをまとめるために、上下関係だけでなく、『並列の関係』を取りまとめる能力があるとされる女性の登用が進んでいるのです。
ただし、あくまで一般論ですので、女性だからというよりは、その能力があるかが大切です」

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著者紹介

武元康明(たけもと・やすあき)

サーチファーム・ジャパン代表取締役

1968年、石川県生まれ。航空業界を経て人材サーチの世界へ転身。代表取締役を勤めるサーチファーム・ジャパン(株)は業界平均を4・5倍も上回る年間スカウト実績を誇る。自身も日々全国を飛び回り、優秀な人材のスカウトに携わっている。近著『ヘッドハンターはあなたのどこを見ているのか』(メディアファクトリー新書)。

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