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「今、どんな企業からも求められる人材」の条件とは?

2015年08月10日 公開
2015年08月18日 更新

武元康明(サーチファーム・ジャパン代表取締役)

グローバル人材の条件は「語学力」ではない!

このような中で高い評価を得るためには、どのような資質が必要となってくるだろうか。

「まずは今挙げた、ダイバーシティへの対応力。これまでの企業社会ではタテ関係が基本でしたが、これからはヨコの人間関係を構築する能力も必要です。そしてこれは、グローバル人材に求められる能力とも重なってきます」

グローバル人材というと、とかく「語学力」などを連想しがちだが、それだけでは足りない、と武元氏は指摘する。

「語学力は単なる伝達手段。極端な話、通訳がいれば事足ります。対して、本当に重要なのは異文化理解力。転職の際、駐在経験を問う企業もあります。なぜなら、海外の仕事では、異なる宗教・慣習・価値観が日常レベルで存在するからです。
大事なのは異文化を理解し、その土地に馴染む『ローカライゼーション』。そして、染まりすぎずに現地の人々を統括する『マネジメント』。この二つの能力が求められています」

 

企業のステージごとに違う「評価基準」

これらの能力のみならず、働く際の姿勢においても、企業は以前とは違う視点で人材を評価するようになっている。

「今年は堅調な業績のもと、営業体制を拡充する案件が多いように感じます。とはいえ、企業には『発展期』『安定期』『衰退期』があります。

『安定期』にはルーチンワークを正確かつ迅速に行なえる「HOW能力」が求められます。しかし、その後には確実に『衰退期』、再び『発展期』というように循環します。それがわかっている企業は、既存の枠組みを外して根本的なところから企業のありようを問い直す力を持つ人を求めています。
駆け出しの企業が発展を目指すとき、あるいは衰退期の企業がV字回復をはかるときには、大胆な「発想力」を持つ人材が必要なのです。これを『WHAT能力』と言います」

とはいえ、実務能力と違い、発想力は身につけることが難しい。日頃の訓練の中で工夫できることはあるのだろうか。

「目の前の仕事に対する考え方を変えてみましょう。どうすれば早く正確にできるかを問う『HOW』ではなく、『WHAT』や『WHY』を問うのです。この仕事の意味は何か、なぜ行なうべきなのか、本当に必要なのか。そういう姿勢を常に持てば、より広い視野と深い洞察力が身につきます」

 

業績の悪い会社から「逃げなかった」人材は評価される

エグゼクティブサーチである武元氏自身は、その人材のどこを見て評価するのだろうか?

「まずは変化の激しい時代において、スカウト対象となる人材は、過去の成功体験にしがみつかない人。去年の成功ノウハウが今年も通用するとは限りませんから。
また、業績悪化で転職者が続出する中、逃げなかった人材です。こうした覚悟は我々にとって、信用できる人かを精査する基準になります。我々がこうした人材を紹介すると、欲しいとおっしゃる経営者は多いです。追い詰められた状況でも責任を果たす人は、どの業界においても、歓迎される人材となるでしょう」

(取材・構成:林 加愛 写真撮影:長谷川博一)

(『THE21』2015年4月号より)

著者紹介

武元康明(たけもと・やすあき)

サーチファーム・ジャパン代表取締役

1968年、石川県生まれ。航空業界を経て人材サーチの世界へ転身。代表取締役を勤めるサーチファーム・ジャパン(株)は業界平均を4・5倍も上回る年間スカウト実績を誇る。自身も日々全国を飛び回り、優秀な人材のスカウトに携わっている。近著『ヘッドハンターはあなたのどこを見ているのか』(メディアファクトリー新書)。

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