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稲盛和夫、柳井正、鈴木敏文…名経営者の「心に響く言葉」

2015年05月15日 公開
2023年01月12日 更新

勝見明(ジャーナリスト)

鈴木敏文「みんなが反対することはたいてい成功し、賛成することは概して失敗する」

セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO

前例のないことに挑戦すると、周囲から反対されることが多い。鈴木敏文氏も、セブン-イレブン創業、セブン銀行設立、価格より品質志向のプライベートブランド開発……などなど、提案時は反対されながら、成功に至った。

「みんなが反対することはたいてい成功する」とは本人の口癖だ。「反対が大きいほど、実現できたときには他にない価値が生み出せるので、成功も大きい」と。

鈴木氏が反対されても挑戦するのは、「真の競争相手は同業他社ではなく、絶えず変化する顧客ニーズである」との信念があるからだ。「おいしいものは飽きるものでもある」と考えるのも、顧客ニーズを常に流動的に捉えるから。大ヒットした『金の食パン』も、発売当日にリニューアルの指示を出したほどだ。

新しいことへの挑戦はリスクも伴うが、セブン- イレブンの強さも、「変化の時代には挑戦しないほうがリスクが大きい」と考えるところに、その秘密がある。
 

柳井 正「どんなに目標が高くても、『できる理由』を考え、実行していく」

ファーストリテイリング会長兼社長

柳井正氏のビジョンは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」ことだ。「ファーストリテイリング(FR)の作る『本当に良い服』で、誰もが生活をより良くすることができれば、世界は良い方向に変わるかもしれない」。真剣にそう考えるのは、「洋服の伝統がなかった日本人だからこそ、既存の常識に囚われず発想できる」と信じるからだ。

ビジョンを実現するため、世界一のアパレル企業を目指す。「目標がどんなに高くても『できない理由』ではなく、『できる理由』を考え、着々と実行する」のが柳井流の経営の基本だ。

とくに現場の店長には、「論理的、分析的なサイエンスの能力と同時に、直観的に肌感覚でニーズを掴むアートの能力も求める」。その育成には「マン・ツー・マンの教育」が必要で、教える側にも、自分たちは何を目指すのかという使命感が問われる。ビジョンにこだわるのはそのためで、ここにFRの経営の本質がある。

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