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挑戦心に火をつける! 米起業家の言葉

2015年05月12日 公開
2023年05月16日 更新

竹内一正(ビジネスコンサルタント事務所「オフィス・ケイ」代表)

ジェフ・ベゾス

アマゾン・ドット・コムCEO

「 顧客のニーズから逆算せよ」


アマゾン創業者であるジェフ・ベゾス。現代のアメリカを代表する起業家ですが、ジョブズやゲイツと彼との間には大きな違いがあります。それは、ジョブズやゲイツには「自分が売りたいもの」があったのに対して、ベゾスにはそれがなく、「ネットを使えば大きく儲けられるのでは?」という発想が原点にあることです。

もちろん、本が好きだからアマゾンを始めたというエピソードは本当でしょうが、一方で根っからの「商売人」でもある。そんな彼の本質をよく表わした言葉がこれです。

実際、アマゾンほど顧客のニーズに忠実な会社はありません。サジェスト機能など次々と新機能を提供したかと思うと、ニーズがなければすぐに引っ込める(ちなみに彼は「小さな一歩を細かく繰り返すほうが多くを学べる」とも言っています)。一方、「いろいろな商品が買いたい」というニーズに応えていった結果、今では本だけではなく家具や雑貨まで扱う総合商店となっている。

特筆すべきは「中古書籍」まで扱っていること。本当に本にこだわりがあるのなら、その売上げを妨げる中古書籍を扱うはずがありません。自らのこだわりを捨て、徹底的に顧客の利便を考える。そこがベゾスのすごみでもあるのです。
 

ビル・ゲイツ

マイクロソフト創業者

「仕事と莫大な富と、どちらを選ぶと聞かれたら、仕事を選ぶ」


マイクロソフト創業者であり、今や世界一の大富豪でもあるビル・ゲイツ。ただ、彼の本質はどこまでいっても「ソフトオタクのワーカホリック」であると私は思っています。BASICやMS‐DOS、そしてウィンドウズと次々とソフトを開発し、それをバージョンアップしていく。才能のあるチームメンバーとスリリングな仕事をすることに何よりの楽しみを見出していたのがゲイツという人なのです。

そして、この言葉に表われているように、自分がいくら稼ぐかということにはまったく執着しませんでした。マイクロソフトが株式公開したとき、社員の一人が上がる株価チャートをデスクの横に貼りつけて仕事をしていたのを見て一喝したというエピソードからも、彼自身にとって株価(お金)は二の次だったことがわかります。

ゲイツには「1日24時間では処理しきれないほど難問がある。だから、無駄にしている暇はない」という言葉もあります。せっかちでワーカホリックなゲイツと一緒に働くのは大変なことだったと思いますが、それがマイクロソフトの成功の要因だったことは事実です。

「仕事が好き」であることは、絶えざる改善の原点となります。iPodやiPhoneなど、次々に斬新な新製品を出していくジョブズに対し、ゲイツは地道に「ウィンドウズ」のバージョンアップを繰り返しました。

飽きずに改良を続けることができたのはまさに「仕事が好き」だからこそ。性能的に見劣りしていた「ウィンドウズ1・0」をひたすら改良し続け、ネットブラウザーを開発したネットスケープ社などライバルが台頭したと見るや剛腕で叩き潰し、やがてウィンドウズは世界を席巻していくことになるのです。

ちなみにゲイツのもう一つの特徴が「心配性」。「成功は最低の教師だ。優秀な人間をたぶらかして、失敗などあり得ないと思い込ませてしまう」という発言もあるように、常に「いつ失敗するか」を考えながら仕事を進めていました。前述のネットスケープ社の例はまさにそうで、心配の芽は早いうちに潰しておこうというゲイツの心配性の表われです。

そんなゲイツの仕事のスタイルには賛否両論あるでしょう。ただ、「好きな仕事をとことんやる」という当たり前のことでも、突き詰めれば億万長者への道が拓ける。ゲイツの言葉からは、そんなことに気づかされます。

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