2015年04月27日 公開
2023年05月16日 更新
春は人事異動や新入社員のシーズン。新たな出会いも増える時期だ。
だが、そんなとき、あなたは相手にどんな「印象」を与えているか、考えてみたことがあるだろうか。
「ビジネスの多くは実力よりも、見た目や言葉などの『印象』で決まってしまう」と言うのは、コンサルタントの三坂健氏。新刊『「印象」で得する人、損する人』を発刊した三坂氏に、そのポイントをうかがった。
マーケティングの大家として知られるセオドア・レビットは著書『マーケティング発想法』の中で「人は製品を買うのではない。製品のもたらす恩恵の期待を買うのである」と述べています。つまり、人は製品そのものの価値ではなく、その製品がもたらしてくれるであろう「期待値」に対してお金を支払っている、ということです。
実際、自動販売機でコーヒーを買うときも、電車に乗って遠くに移動するときも、我々はその価値が実現する前にお金を「先払い」していますよね。それを買うことによって得られるであろう「期待」が、人を動かしているわけです。
実はこの「人は価値そのものではなく、価値の期待値にお金を払う」ということは、私たち個人の評価に関しても同様です。
仕事の機会を得てぐんぐん成長する人と、なかなか機会に恵まれない人がいます。その違いはどこにあるでしょうか。
能力でしょうか?
それとも運でしょうか?
もちろん、それらも違いの1つですが、最初の印象で相手に「期待」を与えられているかどうか、ということが実は大きいのです。
「彼に頼めばうまく進めてもらえそうだな」
「この会社と仕事をすることで大きな成果が得られそうだ」
あなたの印象が、こうした「期待」を取引相手に与えることができれば、相手はきっと仕事を依頼してくれるでしょう。そして頼まれたあなたは仕事の機会を得て、成長し、より多くの稼ぎを得ることができるようになります。
反対にこうした「期待」を相手に与えられないと、いくら能力があっても機会は離れていき、成長もままならなくなってしまいます。
それほど「印象」はビジネスに大きな影響を与えるということです。
印象で損する人は、「不満」「不安」「不便」「不信」「不快」のどれかを相手に与えてしまっています。
問題は、意図的にこうした印象を与えているのではなく、「知らず知らずのうちに」与えてしまっていることが多い、ということです。
たとえば、言葉の端々に「自信のなさが強調される言動」や「相手とは無関係、またはむしろ相手にとってはネガティブな情報を与えてしまう言動」が表われるような人がいます。
営業先で、言わなくてもいい自社に関する不利な情報を伝えてしまう営業マンは意外と多いものです。ただ、本人は慎重を期したつもりでも、「この人に頼むと不安だな」という印象を相手に与えてしまいます。
そんな営業マンに仕事を頼もうという人はいません。その結果、仕事が減り、自分の成長にもブレーキがかかってしまいます。
また、知らないうちに相手に「不便」な印象を与えている人もいます。
たとえば、メールが長い人です。これも本人としては、伝えたいことをなるべく丁寧に書いた結果かもしれませんが、読み手にとっては、できるだけ短い文章で内容がコンパクトにまとまっているほうが望ましいものです。いつもメールが長い人への返信はついつい後回しになりがちですし、そのうち返事をするのもおっくうになるもの。そして関係が疎遠になり、チャンスも失ってしまうのです。
また、いつも忙しく動き回っていてなかなか連絡がつかない人も「不便な人」という印象を与えがちです。本人は一生懸命に走り回っているだけで、決して相手を軽んじているわけではないかもしれません。でも、「電話をかけてもなかなかコンタクトできない人」には、仕事の依頼を控えるようになるのが普通です。
このように、仕事は頑張っているのに、印象のせいでチャンスがどんどん減っていく。
「もったいない!」とは思いませんか。
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更新:12月02日 00:05