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投資がうまくいく人の「当たり前の習慣」 レポートを読むべき理由

新井和宏 (実業家)

投資がうまくいく人は、投資信託を選ぶときに何を見ているのでしょうか。鎌倉投信の創業者の一人である、新井和宏氏は、「月次レポート」や「運用報告書」を読む習慣が重要だと語ります。書籍『投資がうまくいく人の当たり前』より解説します。

※本稿は、新井和宏著『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2026年10月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

レポートを読まない投資は「目隠し運転」と同じ

ファンドの投資先の情報をつかみたいときに、基本となるのは運用会社が出している「レポート」です。レポートは、運用状況についてのお知らせで、自分が託したお金が今どのように働いているかを把握できます。

多くのファンドでは、定期的にレポートを発行しています。

レポートは大きく4種類に分かれます。

 

【ファンドのレポートの種類】

・月次レポート
1か月ごとの運用状況をまとめたもの。どんな会社に投資しているか、値動きや今後の見通しなどが簡潔に書かれている。

・四半期レポート
3か月ごとの詳細な報告。市場動向や、ファンドマネジャー(運用責任者)の考えなどがより丁寧に書かれている。

・年次レポート(運用報告書)
1年の総まとめ。利益や損失の結果、資産の増減、今後の方針を網羅的に報告する。

・インパクトレポート
「お金の結果」だけでなく、「社会への影響」を伝える報告。社会貢献や環境への取り組みを重視するファンドで発行される。

かつて私が在籍していた独立系の運用会社や、一部の金融機関のファンドのように、「社会を良くする投資」を重視している会社は、このインパクトレポートを大切にしています。

数字だけでなく、「なぜこの会社に投資したのか」「どんな未来を目指しているのか」という思いの部分まで書かれているのが特徴です。

初心者が良く混同するのが、「目論見書」との違いです。

目論見書は、「これから投資信託を買う前」に読む資料です。ファンドの仕組み・手数料・リスクなどが書かれた「契約の説明書」のようなものです。

一方のレポートは、「買ったあと」に定期的に届く運用報告。お金がどのように運用され、どんな成果や考え方があるのかを伝える「進捗報告書」のようなものです。レポートは単なる報告書ではなく、資産が育っていく道筋を確認するための資料でもあります。

 

レポートは数字より文章を見ろ

レポートの中には、「販売促進のための資料」にとどまるものもありますが、投資哲学を明確に持ち、丁寧に発信している会社もあります。そうしたレポートを読み続けると、「お金の流れ」だけでなく、その会社がどのような考え方で運用しているのかが見えてきます。

市場が大きく下落したときにどう受け止めているのか、どんな価値を大切にしているのか。姿勢の違いが言葉の端々から自然に読み取れます。

運用方針を「イングリッシュガーデン(英国式の庭)」になぞらえて説明する会社もあります。「少しずつ手を入れ、美しく整えていく」「何があっても慌てず、自然の変化を受け止めながら育てる」。

こうした表現からは、長期的な視点と落ち着いた運用姿勢が感じられます。

数字やチャートでは伝わらない、運用会社ならではの世界観や哲学を知る。それが、レポートを読む醍醐味です。結局、資産の増減を分けるのは短期の値動きではなく、こうした運用の軸の強さなのです。

 

状況がわかると、下げ相場でも不安にならない

インパクト投資は、社会や環境に良い影響(インパクト)を与えることを目的とした投資です。利益だけでなく、社会課題の解決を目指します。

りそな銀行が手がける「インパクト投資」のファンドもその一例で、非常に丁寧な「インパクトレポート」を作成しています。日本や海外の社会課題を整理し、

・どんな課題を解決したいのか
・なぜこの会社に投資したのか
・投資によってどんな変化が生まれたのか

これらを具体的に示しています。

地味に見えるファンドほど、社会と誠実に向き合っている証拠が隠れていることもあります。そんなレポートを見つけると、「この人たちを応援したい」と心が動くのではないでしょうか。

私がいた運用会社も、月次レポートを大切にしています。数字だけでなく、「どんな思いで投資しているのか」「何を大切にしているのか」を語る。それは単純な報告ではなく、投資家との信頼をつなぐ役割を果たしています。

こうしたレポートを読み続けると、ファンドの値動きに一喜一憂して振り回されなくなります。状況がわかっていると、下げ相場でも「安心してお金を託せる」と思えるようになります。

 

アクティブファンドのレポートは人の温度が感じられる

ファンドには次の2種類があります。

・インデックスファンド(市場全体の動きに連動するタイプ)
・アクティブファンド(プロが銘柄を選んで市場平均以上を目指すタイプ)

インデックスファンドは、どんな状況でも「指数に沿って動く」仕組みです。コストが低く効率的に投資ができる一方で、レポートでは、運用者の思想やストーリーは感じにくいのも事実です。

「指数に沿っているから」といわれればそれまでですが、良くも悪くも淡々としています。もちろん、インデックスファンドは年金など、他人のお金を客観的に管理する目的にはとても優れています。

一方のアクティブファンドのレポートには、運用者の判断の背景や価値観が強く表れます。自分のお金を自分の意志で託すなら、この「人の温度」から得られる充実感も、投資を続けるうえで大切な要素になります。納得して続けられる投資こそ、長期的にはお金を増やす最大の条件です。

プロフィール

新井和宏(あらい・かずひろ)

実業家

1968年、神奈川県生まれ。1992年住友信託銀行(現・三井住友信託銀行)入社、2000年バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現・ブラックロック・ジャパン)入社。公的年金などを中心に、多岐にわたる運用業務に従事。チームで10兆円あまりを運用する。2007~2008年、大病とリーマン・ショックをきっかけに、それまで信奉してきた金融工学、数式に則った投資、金融市場のあり方に疑問を持つようになる。2008年11月、「鎌倉投信株式会社」を元同僚と設立。2013年には最優秀ファンド賞を獲得し、2015年にNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演。現在は、電子コミュニティ通貨ユーモを運用する非営利株式会社eumo代表取締役。著書に『あたらしいお金の教科書:ありがとうをはこぶお金、やさしさがめぐる社会』(山川出版社)、『投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資ルール』(ダイヤモンド社)などがある。

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