THE21 » キャリア » 指導と難癖、理想の上司と老害をわける コンサル直伝・指導の鉄則

指導と難癖、理想の上司と老害をわける コンサル直伝・指導の鉄則

西原亮([株]明治クッカー 代表取締役)

指導と難癖、理想の上司と老害をわける コンサル直伝・指導の鉄則

「まずは自分で考えろ」が、部下の成長を止めているかもしれない。自発性を引き出すための、上司の正しい関わり方を解説してもらった。

※本稿は、西原亮 著『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』(ダイヤモンド社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

部下に考えさせる前に「自分の考え」を持つ

「部下に自発的に考え、行動できる人材になってほしい」

これは全上司の願いでしょう。だからこそ、相談に来た部下に対して、教育的指導のつもりでこう言ってしまうことが多くあります。

「答えをすぐに聞くな。まずは自分で考えてみろ」

しかし、準備のない「自分で考えろ」は、部下を育てる指導ではなく、上司の怠慢です。

特に、経験の浅い部下に対して「自分で考えろ」と言うのは、泳げない人を海に突き落として「自力で岸まで戻ってこい」と言っているのと同じです。部下は思考の迷路に迷い込み、時間を浪費し、自信を喪失し、溺れてしまいます。

 

「答え」がない上司に、フィードバックする資格はない

私がコンサルタント時代、尊敬する先輩から叩き込まれた「鉄則」があります。

「部下に『考えろ』と言っていいのは、お前自身の中に『考え』があるときだけだ」

なぜなら、正しいフィードバックとは、「上司の考え(基準)」と「部下の考え」の「ギャップ(差分)」を埋める作業だからです(下図)。

もし、上司であるあなたの中に「こうあるべき」という基準がないまま部下に考えさせると、どうなるでしょうか?部下が必死に考えてきたアウトプットに対して、その場の気分や思いつきで「なんか違うな」「もっといい案ないの?」「ウチらしくない」と、「後出しジャンケン」のダメ出しをすることになります。

基準がない指摘は、指導ではなく「難癖」です。これを繰り返すと、部下は「どうせ何を言っても否定される」「正解探しゲームにつき合わされている」と感じ、上司を「老害」認定して心を閉ざします。

上司は答えを持っていなければならない

 

部下に「丸投げ」せず「思考の枠」を指定する

では、自発的な部下を育てるためには、どうすればいいのでしょうか?

答えは、「考える範囲を限定すること」です。

■実践例:新商品の企画書作成

×丸投げ:「新商品の企画書、まずは自分で考えてつくってみて」
 →部下は何から手をつけていいかわからず、フリーズします。
○範囲限定:「企画全体の構成は私がつくる。君には、商品イメージ図を、若者向けとシニア向けの2パターンで考えてみてほしい。それと、20代に刺さるキャッチコピーを5つ考えてきてくれ」

いかがでしょうか。「商品イメージの2パターン」と「キャッチコピー5つ」。ここまで範囲が限定されると、部下は「それなら考えられそうだ」と脳を動かし始めます。

「範囲を限定する」ことは、過保護ではありません。

まずは小さな範囲で「自分で考えて、上司の基準をクリアした」という成功体験を積ませる。そして、その積み重ねによって、徐々に自分で考えられる範囲を広げていく。

この手順を踏むことで、部下は「自ら考え行動する人材」へと育つのです。

プロフィール

西原亮(にしはら・りょう)

㈱明治クッカー 代表取締役

慶應義塾大学卒業後、アメリカ・ニューヨークに拠点を置く投資ファンドと大手総合商社の合弁にて設立された経営コンサルティング会社に入社。主に全社組織改革、新規事業立案、新興国への海外事業展開戦略などのプロジェクトに参加。担当企業はグローバル大手印刷機器会社、イスラエル大手製薬会社、国内大手通信会社など多数。同社で5年の勤務を経て30歳を迎えた2013年、父親の跡を継ぐために明治クッカーに参画、同年8月より代表取締役に就任。2019年より「にっしー社長」としてYouTube、およびTikTokにてビジネススキルの情報発信を開始。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

使った時点で指示出し失敗!? 部下へのNGワードと正解例4パターン

西原亮([株]明治クッカー 代表取締役)

たった15分の相談が成功率を変える 上司が知るべき5つの「任せる技術」

西原亮([株]明治クッカー 代表取締役)

部下のやる気はどう引き出す? リーダーがやるべきことはただ1つ!

五十嵐剛([株]リーダーズクリエイティブラボ代表取締役CEO)

「ここがダメ」で人は動かない 信頼される上司が代わりに言う「たった一言」

吉井奈々(一般社団法人JCMA代表理事・コミュニケーション講師)

なぜあの上司の言葉だけ胸に残るのか 信頼を生む1on1の本質

上林周平([株]NEWONE 代表取締役)