
起業家である著者は、9歳の娘に月5万円のお小遣いを与えるという教育をしていたという。その教育は、どのような金融リテラシーを育んだのだろうか?
※本稿は、『THE21』2026年7月号の内容を一部抜粋・再編集したものです。
急激なインフレ局面を迎えた今、かつての「貯蓄こそ正解」という常識が完全に崩れ去り、多くの日本人が「このままではまずい」という不安を抱えています。
それでも多くの人が一歩を踏み出せないのは、「貯蓄こそ正解」「お金の話はタブー」とされた時代が長く続き、学校でも家庭でも「お金との向き合い方」を学んでこなかったからでしょう。
お金の本質を理解することは、変化の激しい時代を生きる親世代だけでなく、未来を生きる子どもたちにとっても、自らの手で人生を切り拓いていくために不可欠なことなのです。
私自身はアメリカで学生時代を過ごし、金融市場の最前線で20年以上働く中で、数多くの失敗と成功を経験しながら「お金の本質」を学んできました。また、その経験を踏まえ、お金を通じて娘の「自主性」を育んできました。
9歳の頃から教育費や住宅ローンなどの仕組みについて説明し、月5万円のお小遣いを与えて、その中で洋服代や外食、教材費、スマートフォン代まですべてをやりくりさせたのです。
最初は浪費することもありましたが、次第に彼女は「スマホが欲しいから友達との外食を控えよう」「この服はユニクロよりもザラのほうがコスパが良い」といった具合に自分で考えながら、お金に対するリテラシーを高めていったのです。やがて彼女は進学先や入学要件、勉強方法などを自ら調べて、アメリカの学校へ進みました。
自分は何を大切と考え、何を選択し、どう生きるのか。そのためにお金や時間をどう使うのか。親が逐一教えるのではなく、自分だけで考えなければならない環境を与えたことで、彼女自身の価値観や判断力、決断力が養われていったのです。
逆説的ですが、「お金に縛られずに自由に選択できる人生」を手に入れるためにはお金が必要不可欠です。そして、お金の基本は「稼ぐ・増やす・使う」です。最も大切なのは「どう使うか」です。稼いで増やした後に「使う」がなければ、人生は1ミリも動きません。
ここで重要なのが、「自分のために使う」という視点です。日本の親世代、とりわけ女性の方は「家族のために」と自分を後回しにしてしまう人もいるかと思いますが、自分を大切にできない人が他人を幸せにすることはできません。
私は20代、30代を通じて稼いだお金を「自己投資」に使ってきました。それは自分の経験値を上げ、成長するための必要経費でした。何より、身近にいる親が人生を謳歌しながら自立して生きる姿を見せることこそが、子どもにとって最高の教育になると考えていたからです。
「自由に選択できる人生」の1つのゴールは事業主(個人事業主、フリーランスを含む)になることです。まずは、①本業(サラリーマン)の収入、②副業による収入、③投資による資産運用、という3つを同時に走らせてみてはいかがでしょうか。
この3つを組み合わせてリスクヘッジしつつ、ある程度の確信が得られた段階で独立へ舵を切るのです。今、私は飲食店を経営していますが、自分で店内のデザインを考え、メニューを決め、お客さんの喜ぶ顔を直接見るという醍醐味は、アメリカの外資系金融機関で働いていた頃であっても決して味わえなかったものだと感じています。
人生は一度きり。自分の人生の主役は他の誰でもないあなた自身です。本書が「自分の人生の舵」を握るためのきっかけになることを願っています。
更新:06月25日 00:05