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「3年かけて師を選べ」。豊臣秀長が100万石の大名になれた、独学を超えた学びの正体

2026年04月29日 公開
2026年05月07日 更新

加来耕三(歴史家・作家)

「歴史の一流は「師匠」から何を学んだのか」

歴史上の偉人には、「師匠」との出会いにより人生を飛躍させた者も多いという。彼らは師を通じてどのようなことを学んでいったのだろうか。解説してもらった。

※本稿は、加来耕三著『歴史の一流は「師匠」から何を学んだのか』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

3年かけて学ぶよりも3年かけて師を選ぶべき

「三年勤め学ばんよりは、三年師を選ぶべし」という諺があります。これは、3年かけて専門分野を独学で学ぶよりも、まずは3年かけてでも自分に適した良師を選ぶべきだ、という意味です。

同様に「千日の勤学より、一時の名匠」ともいわれ、1000日の間、一人こつこつと独学するよりも、短くても優れた学者について学ぶ方が、効果的であるというのもあります。

なお、この諺には「師に会わざれば、僅かの事にても惑い解けぬものなり」が、その前についています。

いずれの言葉も、学習における師の重要性を説いており、本来「学ぶ」とは「師から学ぶこと」を前提としており、独学では到達できない領域(レベル)があることを示唆しています。

読者の皆さんも、これまでのご自身の人生において、学校や塾の先生、予備校の講師、習い事の師や先輩、部活動の監督や顧問、あるいは会社の上司、父母など、「師匠」と呼べる存在の下で、学んだ経験をお持ちだと思います。

素晴らしい師に巡り合えた経験のある人は、非常に幸運だといえます。一方で、現代はインターネットや動画、専門書などが充実しており、師匠につかずとも、独学で十分に学べるではないか、と考える人も少なくありません。

しかし、歴史を振り返りますと、功成り名を遂げた一流、偉人たちは皆、具体的な師のもとで、生きていくうえで必要な技術に加えて、人生観や生きる目的といったものを学び、その教えを活かして成功をつかんでいます。

徳川家康は敵対していた武田信玄を師として、自らの立居振舞はもとより、軍略・兵法や人心収攬の方法まで学びました。大久保利通はドイツの宰相ビスマルクに、日本の進むべき道を示唆されています。いずれも、いわば師匠のおかげでした。

令和8年(2026)のNHK大河ドラマの主人公の一人、豊臣秀吉の弟・秀長もまた、師から学ぶことで、百万石を超える大大名として、豊臣政権のナンバー2に大成した人物です。秀長はもともと尾張国(現・愛知県西部)で農業に従事している青年にすぎませんでしたが、兄の秀吉に説得され、半ば強引に引き抜かれて、その家来=足軽となりました。

武士としての経験も知識もまったくない状態から、のちに「大和大納言」と称され、秀吉を陰で支える天下の補佐役へと成長できたのは、兄・秀吉、その主君である織田信長、さらには蜂須賀正勝や竹中半兵衛、黒田官兵衛といった稀代の先達、軍師たちから、順々に教えを受け、それを自らのものにしていったからに他なりません。

もちろん、当時はインターネットもSNSもない時代であり、知識を得るためには人から直接・間接に学ぶ以外に、方法がなかったという側面はありました。

しかし、仮にその時代に現代のような情報網があったとしても、彼らはおそらく師から学ぶ道を選んだはずです。なぜならば、師から直接・間接に学ぶことには、単なる情報の習得だけでは得られない、もっと奥深い〝学び〟の本質的な意味合いがあったからです。

プロフィール

加来耕三(かく・こうぞう)

歴史家・作家

1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒業後、同大学文学部研究員を経て、現在は大学・企業の講師をつとめながら、独自の史観にもとづく著作活動を行っている。内外情勢調査会講師、中小企業大学校講師、政経懇話会講師。主な著書に『リーダーは「戦略」よりも「戦術」を鍛えなさい』(小社)、『豊臣秀長「補佐役」最強の流儀』(ビジネス社)、『十干十二支の大予言』(笠間書院)など多数。立花宗茂をテーマにした『加来耕三が柳川で大河ドラマをつくってみた(RKB毎日放送)』は第57回ギャラクシー賞優秀賞(2019年度)を受賞。テレビ・ラジオの番組の監修・出演も多い。

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