
資産形成YouTuber「不動産アニキ」としても活躍する、不動産投資家の小林大祐氏。氏は、日本の金利が依然として低いことを挙げつつ、金利上昇は恐れるものではないという。その根拠を解説してもらった。
※本稿は、小林大祐著『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
※本稿は2026年3月時点の情報に基づき著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。
金利が上昇していることでそれを過度に恐れる人もいるようだが、日本の金利は依然として歴史的な低水準にあることは変わらない。過去を振り返れば、バブル絶頂期には金利が8%程度に達しており、今でも金融機関は融資を出すかを判断する際にこれに近い水準を前提にストレステストをかけている。
具体的には、収益不動産を購入するため融資の申し込みがあった場合、金融機関はその物件の空室率や家賃下落率など、一定のリスクシナリオを想定してそれが現実になった場合でも返済できるかどうかを見極める。そのリスクシナリオには「金利8%」に近い「6%」も含まれているのである。
しかし、実際に8%という金利が設定される時代が再びやってくるとは考えにくい。何しろこの水準は万札をヒラヒラさせてタクシーを拾い、新卒内定者をハワイに連れて行って拘束していたような時代の水準であり、あのような狂乱の時代が再来する可能性は現実的には極めて低いからだ。
一方アメリカでは、FRBが日本とは比較にならないほど金利を柔軟に操作している。ゼロ金利から一転して高金利へと政策を変更することもあり得るが、日本が同じようなことをするのは無理だろう。そもそも超高齢の人口減少社会で経済の成長力が乏しい日本は、アメリカのように賃金が物価に連動して上がる環境とは根本的に異なる。
利上げは景気を冷やすだけでメリットはないに等しいし、政府債務も莫大で、金利上昇による国債の利払い負担の増加にも耐えられないだろう。つまり、日本では政治的にも制度的にも、金利上昇には非常に慎重にならざるを得ないのである。
さらに言えば、金利政策は国家戦略の一環であり、住宅ローンを組んでもらって住宅購入を促すことで経済全体を膨張させていくというのは、日本が長い間続けてきた政策だ。金利を一気に引き上げれば住宅需要が冷え込み、経済全体に致命的な悪影響を及ぼしかねない。
実際、現在はスタグフレーション的状況にある。ウクライナ侵攻などの影響で物価は上昇しているのに、実質的な賃金や購買力は減退している。
円安の恩恵を受けて史上空前の好決算を叩き出す企業もあるが、日本の企業の大半は中小零細企業であり、そのほとんどは物価や原材料価格の上昇を補うための価格転嫁ができていない。
このような社会環境下では金利はそう簡単には上げられないだろう。
金利の問題でよく議論になるのが、住宅ローンを固定金利にするか、変動金利にするかという問題である。現状では、変動と固定の金利差はまだ大きく開いている。
この差は何かといえば、金利上昇リスクのプレミアム分だ。
要は固定金利を選択する人が、将来の金利変動リスクをより多く背負わされている構造にある。この差が縮まってくれば固定金利も検討の余地があるが、今の時点では明らかに変動金利一択である。
すでに述べた通り、日本は世界でもまれに見る有利に住宅が買える国であり、この有利すぎる住宅ローン制度を活用しない手はない。ただし、価値が下がらないエリアで住宅を買うというのが絶対条件だ。そうであれば万一返済不能に陥ったとしても、物件を売却すれば済む。
要するに、金利の上昇は警戒すべきテーマではあるが、現実的には急激な上昇の可能性は低い。だからこそ、今の環境下においては変動金利で住宅を購入するという選択は、合理的かつ戦略的な一手であるといえるのである。
ましてや、収益不動産ではなく実際に住む家が欲しいのであれば、欲しいときこそ買いどきであり、金利で躊躇する必要などまったくない。

更新:05月03日 00:05