2026年04月04日 公開

「仕事ができる人」への憧れを持つ社会人は多いだろう。ではそもそも、仕事ができる人とは、どんな能力を持った人なのだろうか。木暮太一氏の著書『仕事ができる人の頭のなか』(ダイヤモンド社)より解説する。
※本稿は、木暮太一著『仕事ができる人の頭のなか』(ダイヤモンド社)より内容を一部抜粋・編集したものです。
本書のコンセプトは、「仕事ができる人の頭のなか」を明らかにすることです。そして仕事ができる人になるために何を考え、何をすればいいかを示すことです。
斬新なアイディアを思いついたり、ものすごい困難に打ち勝ってプロジェクトを成功させたり、鋭い分析で誰も思いつかないような施策を展開できる人に憧れ、その人たちを「仕事ができる人」と捉えているかもしれません。
たしかにその人たちはものすごく仕事ができます。憧れるのもわかります。でも、その人たちは一種の天才です。スティーブ・ジョブズのようになりたいと思っても、誰もが努力でなれるわけではありません。
ぼくは20年以上、出版社を経営しています。かつて自社で起業家の自伝本を出版するために、多くの起業家にインタビューをし、その方の考えや体験を聞きました。若くして起業し、一代で会社を大きく育て富と名声を手にした方々の話は本当に刺激的で、とても勉強になりました。
ただし同時に「ぼくはこの方々のようにはなれない」とも感じました。発想が天才すぎますし、想像を絶するプレッシャーに耐える忍耐力が人間離れしていたんです。インタビューをし、起業家の本を出版しながら、「こんな生活は、ぼくには絶対に耐えられないだろうな......」といつも思っていました。
彼らから学ぶことは大事です。しかし、簡単に目指せるわけではありません。彼らの資質はほとんどのビジネスパーソンにとって、「仕事ができる人」とは何か別のものなのです。
また、課題解決能力や発想力を鍛え、圧倒的な能力でプロジェクトを成功させるような人材になりたいと考える人もいるかもしれません。「それこそが『仕事ができる人』だ」と考えるかもしれませんね。
もちろんその人たちも「仕事ができる人」ではあります。
ただ、ぼくらは毎日大きな決断を迫られているわけではありません。毎日が「勝負日」なわけでもありません。実際は細かいタスクの積み重ねで1日が終わることが大半です。「今日何をした?」と聞かれても「いろいろやった」というのが正直なところでしょう。それらのタスクが無意味ということではありません。ぼくらの仕事とは「名もなき家事」のように小粒なタスクの集合体だということです。
言い換えると「このタスクがこなせたら仕事ができる人になれる!」というものはなく、いろんな場面でいろんなことができなければいけないということなんです。
となると、「仕事ができる」が、とても捉えどころがない言葉だと気づきます。結局何に着目すればいいのか?何をすることが「仕事ができる人」になることなのか?これまで、それを明確に捉えることがなかなかできませんでした。
「仕事ができる人」という言い方は頻繁にされますし、みんなそうなりたいと思っています。ですが、その「仕事ができる人」とはどういう人なのかと聞かれると明確に答えられません。つまり、「みんなよくわかっていない」のです。
わかっていないから、頭がいい人や作業が速い人、残業している人(逆に、早く帰っている人)、感じのいい人、みんなの話を聞いてくれる人、エクセルが得意な人のように、何か他のスキルや素養にすり替えて話をしてしまうのです。
でも、それらは「仕事ができる人」の本質ではありません。
頭がよくても、感じがよくても、AIを駆使しても、意味のあることをしていなければ「仕事ができる」とはならないからです。
かつては、質のいい商品を作り、その認知度を上げれば売れていきました。
となると、ぼくらは決められた段取りをミスなく、かつ素早くこなせればよかった。それが「仕事ができる人」でした。
でも、いまは違います。やるべきことが明確に決まっていません。だから何をしたらいいかわからないし、上から指示をしてもらえるまで待っている人もいます。自分なりに考えてみても、それが評価につながっている実感は持てません。
そもそもでいえば、仕事ができる・できないは誰が決めることでしょうか?自分で決めていいのでしょうか?
答えは「NO」ですね。あなたが「仕事ができる人」かどうかは、あなたのまわりが決めることです。もっと直接的に考えるならば、あなたの評価を決める上司や顧客がどう思うかで決まります。
そう考えると、自分が時間を効率的に使えるようになったからといって、「仕事ができる人」にはならないこともわかります。相手が求めているのは「あなたが出した結果」であって、あなたが効率的に実行したかどうかはさほど関係がありません。
世の中には仕事術の本が多数あります。しかし、多くの本がスキルを身につけたり、効率よく素早くタスクを終わらせる方法を語るだけで終わっています。つまり、自分の業務を「どのようにやるか」を指南しています。
ですが、本当に大事なのは「何をすればいいのか?」のはずです。やる必要のない無駄なタスクを早く終わらせたところで意味はありません。「どうやればいいか」の前に「何をやればいいか」を考えなければいけないのに、それがすっぽりと抜け落ちているのです。
更新:04月05日 00:05