2025年08月26日 公開

自立して生きていきたい──。そんな思いから、長年専業主婦だった中道あん氏が再就職したのは45歳のとき。その後48歳で夫と別居し、3人の子どもを育てあげた。さらに、そんな生活の中でも貯金を続け、55歳のときには起業も果たしている。中道氏が楽しみながら実践してきたという「節約・資産形成術」を聞いた。(取材・構成:前田はるみ)
※本稿は、『THE21』2024年9月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集したものです。
これは私個人の考えですが、「幸せ」とは感じるものなので、お金があれば幸せ、というものでもありません。お金がたくさんあっても幸せを感じられない人はいますし、逆にお金がなくても幸せを感じられる人もいます。その点、お金と幸せはあまり関係ないと思っています。
とはいえ、お金で得られる豊かさや、お金で解決できる問題もたくさんあります。お金がないという理由でできないことがある状態は、とても不利ですし、惨めです。
私がそのことを痛感し、貯蓄に目覚めたのは45歳のときでした。結婚後12年間の専業主婦を経てパートで6年、正社員として働き始めたのがちょうどその頃です。48歳で夫と別居し、自分らしく生きようと55歳で起業して、今に至ります。
50代前半は、3人の子育てもあり、家計は決して楽ではありませんでした。その中でも貯金できたのは、無駄遣いしにくく、自然にお金が貯められる仕組みを構築してきたからです。私が楽しみながら実践してきた節約・資産形成術をお伝えしていきたいと思います。

貯金できない人は、実は何にいくら使っているかを把握していない人が多いのではないでしょうか。把握していないから、不要なものを買うなどの無駄遣いが増えて、お金が足りなくなってしまいます。まずはお金の出入りを明らかにするために、毎月の収支を記録することから始めましょう。
家計簿をつけるのは面倒だから続かない、という人にお勧めなのが、クレジットカードでの支払いに統一することです。クレジットカードの利用明細が家計簿代わりになり、使ったお金の内容や合計がひと目でわかります。これは私も実践していて、たとえ100円のものでもクレジットカードで支払っています。
明細を見れば、「今月は外食費を使い過ぎたから、来月は少し控えよう」などと気をつけることができます。あるいは、何に使ったのか覚えのない支出を発見することもあるでしょう。お金が貯まらない人は、この使途不明金が多いのではないでしょうか。また、購入したものがしっかり使われているか、無駄になっていないかも確認してみてください。
お金の流れを把握する方法としては、月に一度、エクセル表に貯蓄残高を入力するだけの収支管理がお勧めです。毎月、銀行や証券などすべての口座の残高を一覧表に入力していくと、前月と今月でどれだけ減ったか、増えたかがわかります。増え続けていれば問題ありませんが、減り続けていれば資産が減っているということなので、赤字を出さないお金の使い方を意識する必要があります。
私はこの管理方法を始めて5年ですが、少しずつでもお金が増えているという実感が持てることで、だんだん貯金体質になっていきました。「これ以上減らしたくない」というデッドラインを意識するようになり、お金の使い方も変わっていきました。

お金の流れを可視化できたところで、次は貯金ができるように、お金の使い方を見直していきます。
貯金といっても、急に収入が増えるわけではないですし、副業で稼ぐといっても、人生の大事な時間をすり減らすことになっては、幸せな人生からは遠ざかるばかりです。そこで、お金の使い方を見直すことが重要になってくるのです。
お金の使い方には4種類あります。生活に必要なものに使う「消費」、思いつきや衝動で使う「浪費」、老後の生活資金など目的のために用意しておく「貯蓄」、学びや勉強のほか、お金に働いてもらうことでリターンを得る「投資」です。必要最小限の「消費」は確保しつつ、「浪費」はできるだけ抑え、「貯蓄」や「投資」に回すのが理想的です。
買った後にどう使うかによって、消費にも浪費にも投資にもなり得ます。例えば、本を買ったとします。本を読み、読んだ内容を実践して活かすことができたら投資、読むだけで終わったなら消費、読まずに積読になったら浪費です。他にも、買ったのに着ていない服や、休眠状態のスポーツクラブ会員費なども浪費に分類されます。
私はよく旅行に行くのですが、旅行はどうでしょうか。旅先での体験がその人の人間の幅を広げたとしたら、投資と捉えられるでしょう。温泉に浸かってリラックスして、翌日からまた精力的に活動するためにエネルギーチャージできたなら、これも投資と考えられます。
お金をどう使うかによって、浪費にも投資にもなることがイメージできたと思います。私自身は、自己投資にお金を使うことを意識しています。勉強会に参加したり、コンサルタントをつけたりして、自分の知識や経験が増えることで、発信力や稼ぐ力を身につけることができます。成長するためには、いくつになっても自己投資は必要だと思っています。
自分にはどんなお金の使い方の癖があるのか、毎月の支出の明細をチェックしてみましょう。もし、浪費が多いことに気づいたら、貯蓄や投資をする前に、お金を浪費しない人になることが先決です。
とはいえ、なんとなく使ってしまうのが浪費ですから、それを減らすためには、浪費の元・買い物の回数を減らすのが一番でしょう。買い物をしなければ、無駄なものにお金を使うこともありません。
私が実践しているのは、スーパーには極力行かず、ネット宅配を利用することです。スーパーに行くと、「安かったから」「小腹が空いたから」「新製品が出ていたから」などの理由で、つい余計なものまで買ってしまいます。同じ理由で、コンビニや100円均一ショップでの買い物も、つい買ってしまう誘惑が多いので要注意です。
一方、ネット宅配は多少割高ですが、冷凍技術の進歩のおかげもあり、肉や魚を美味しくいただけて、利用価値が高いことが判明。今では全国の契約農家から届く旬の食材で料理するのが楽しみになっています。
他にも、ふるさと納税の返礼品の活用やポイント利用による節約も効果があります。私の場合、食品や日用品などの生活必需品は楽天市場でまとめ買いし、貯まったポイントでお肉などの食材を購入しています。旅行に行く際も、飛行機のアップグレードやホテルの宿泊費用はポイントで調達しています。節約しながらプチ贅沢ができるポイ活を実践しない手はありません。
次は貯金です。お金が残ったら貯金するというスタンスでは、なかなか貯金できません。コツは、自然にお金が貯まる仕組みを作ることです。
私は、銀行の自動積立定期預金を行なっています。「今月もいくら貯金しなきゃ」と考えなくても、知らぬ間に貯まっているので、ストレスがありません。
そして、引き落とした後に残ったお金の範囲内でやりくりします。そうすることで、無駄遣いも減っていきます。
投資に関しては、NISAを使った積立投資や個別株への投資のほか、投資用不動産を2軒持っています。投資を始めたのは、起業がきっかけです。定年のない個人事業主は、いつまでも働き続けることができます。かといって、お金のために自分の時間も体も使っていては、本当の意味で自由を手に入れられません。自分だけでなく、お金にも働いてもらうために投資を始めたのです。
1軒目の不動産投資を始めたとき、資金の一部にしたのが、会社員時代に積み立てていた個人年金の契約者貸し付けでした。49歳から月に3万3000円を10年間貯めていて、満期になる手前でした。このお金がなかったら、不動産は買えませんでした。
投資を始めるにも、起業するにも、ある程度まとまったお金が必要です。そのためにも、まずは貯蓄から始めるのが正しい順番です。お金があれば、それが呼び水となって、さらにお金が貯まっていきます。
起業を考えているなら、少なくとも1年は稼げなくても、生活に困らないお金を蓄えておくことが目安となります。例えば、1カ月の生活費が30万円なら、360万円は死守して貯める。実際、私も起業前はそのくらいのお金を貯めていました。
こういうお金があると、「1年くらい稼げなくても大丈夫」と思えるので、新しいチャレンジへの決断がしやすくなります。

冒頭で、「お金があれば幸せとは言えない」と申し上げました。では、幸せに結びつくものは何なのか。人それぞれだと思いますが、私の場合、人間関係が幸せの土台にある気がします。
人は一人では生きていけませんから、周りの人たちや社会とどうつながっていくのかは大事なことです。その中でも、家族や友人との関係はお金には換えられないものだと思います。
それから、健康です。人生を支えているのは健康、特に筋肉だと言っても過言ではありません。足腰が弱いと、疲れやすくもなりますし、外に出るのも億劫になります。やる気や前向きさが生まれてくるのは、足腰が丈夫で、体を動かせてこそです。
丁寧な暮らしも、私がお金より大事にしていることです。私にとって、食べることは生きること。暮らしを整えることで、幸せを感じることができます。
そして、今挙げた3つ(人間関係、健康、丁寧な暮らし)を維持するために、私はお金を使うことを惜しみません。もちろん上限はありますが、お世話になった人へのプレゼントや、大好きな食べることについては、お金を使っていると思います。
幸せを感じるには、自分に足りないものを見るのではなく、すでにあるものに目を向けてはいかがでしょうか。「あの人は私より持っている」と比較の中で生きている限り、上を見ればキリがなく、いつまで経っても満たされません。
「自分はこれが好き」とオリジナルな価値観で暮らしていれば、比較する対象がいなくなり、幸福度は上がると思いますよ。
【中道あん】
ブロガー。1963年生まれ。50歳で知識ゼロの状態からブログを開設。2年後にはAmeba公式トップブロガーになる。2019年、女性のスモールビジネスを応援するために一念発起して起業。現在は執筆活動やコンサルタント業など、幅広く活動中。著書に、『ブログをライフワークにしてお金と自由を生み出す方法』(自由国民社)などがある。
更新:08月28日 00:05