
新しい人を採用したいけれど
知名度がない、休日が少ない、初任給が低い、採用コストもない...
そんな経営者や採用担当者の悩みにこたえる中小企業特化型の採用戦略「ゲリラ採用」とは?
20年間にわたり中小企業の採用を支援してきた窪田司さんが解説します。
※本稿は、窪田司著『小さな会社の採用は「スキマ」を狙え ライバルより低条件でも人が集まる方法 』(秀和システム)を一部抜粋・編集したものです。
今まで私は、求職者にとってのベネフィットの重要性についてお伝えしてきました。
頭では理解できたものの「当社には強みというより、むしろ弱みが多くて」という企業もあるかもしれません。
実際、「ウチには強みがない」「弱みばかりだ」とおっしゃる企業は少なくありません。
しかし、安心してください。現在でも従業員が採用・定着しているということは、すでに強みが存在しているということです。少なくとも、事業として成立しているからこそ、採用を必要としているのです。
では、中小企業でよく聞かれる「年間休日が少ない」ケースについて考えてみましょう。私が当初疑問に思ったのは、「労働基準法」の存在です。労働時間についてご存じの方も多いと思いますが、法律では以下のように定められています。
《第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。》
つまり、年間休日が少ないからといって、その分だけ労働時間が長いわけではないということです。
ただ、求職者が労働基準法に精通しているわけではないため、1日あたりの労働時間ではなく、単純な休日数で企業を評価してしまうことが多いのが実情です。
この点を整理すると、以下のような構図になります。
・年間休日が少ない企業 1日あたりの労働時間が短い
・年間休日が多い企業 1日あたりの労働時間が長い
結果、労働時間の合計は同じなのです。
年間休日が少ない=悪と捉えるのではなく、「1日あたりの労働時間が短い」と表現すれば、強みとして伝えることも可能になります。
また「働きやすい職場」という表現にも注意が必要です。
2022年12月15日付の日本経済新聞では「職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望」という記事が掲載されました。
このころまでは「ホワイト企業」が持てはやされていましたが、最近では「ゆるい職場=ゆるブラック」と揶揄されるようになり、価値観が変化してきています。
この点も、以下のように整理するとわかりやすいでしょう。
・やりがい高×働きやすい=プラチナ企業
・やりがい高×働きにくい=モーレツ企業
・やりがい低×働きやすい=ホワイト企業
・やりがい低×働きにくい=ブラック企業
このように整理すると「ホワイト企業=強み」「モーレツ企業=弱み」とは限らないことがわかると思います。
実際、日本経済新聞社の調査によると、2012年度~2022年度における売上高成長率上位100社のうち、モーレツ企業の年平均成長率は6.6%で、ホワイト企業の4.6%を上回っています。
また、株価純資産倍率(PBR)もモーレツ企業が2.5倍、ホワイト企業が2.3倍と、数字の面でも「一概には言えない」状況が見て取れます。
私が実施している採用ワークショップでは、ネガティブな言葉をポジティブに言い換えるワークをおこなうことがあります。
たとえば「優柔不断→思慮深い」のように、表現の切り口を変えるだけで、同じ事実がまったく違った印象を与えるのです。
ある企業では、ライバルが大手企業で「ルール・仕組み」がしっかり整っていることを強みとしていた一方、自社にはそれがなく、ネガティブに捉えていました。
しかし、逆に「個人の裁量が大きく、自由な働き方ができる」と打ち出すことで、クリエイティブ志向の人材には大きなベネフィットとなり、戦略を切り替えた結果、採用に成功しています。
今「これはウチの弱みだ」と思っていることも、別の角度から見ればターゲットにとってのベネフィットになる可能性があります。
たとえば「給与が高くない→その分、残業が少ない」「仕組みが整っていない→自分で創れる環境がある」「年間休日が少ない→1日の労働時間が短く、ワークライフバランスが取りやすい」などのように物事は多面的です。
伝え方一つで、企業の印象はガラリと変わります。
ぜひ一度「ウチの弱みをポジティブに言い換えるとしたら?」と考えてみてください。
そこに、求職者に響くベネフィットが隠れているかもしれません。
更新:05月27日 00:05