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採用を成功に導くペルソナの設定とは? 自社にとっての「典型的な人物像」

窪田司(コォ・マネジメント株式会社 代表取締役)

典型的な人物像

新しい人を採用したいけれど
知名度がない、休日が少ない、初任給が低い、採用コストもない...

そんな経営者や採用担当者の悩みにこたえる中小企業特化型の採用戦略「ゲリラ採用」とは?
20年間にわたり中小企業の採用を支援してきた窪田司さんが解説します。

※本稿は、窪田司著『小さな会社の採用は「スキマ」を狙え ライバルより低条件でも人が集まる方法 』(秀和システム)を一部抜粋・編集したものです。

 

「理想の人物像」より「典型的な人物像」を

「どのような人を採用したいか」を考えていない企業は、ほとんどありません。

しかし実際には、求める人物像(=ペルソナ)を具体的に設定できていない企業が多いのが現状です。この「人物像の不明確さ」が、採用活動全体をぼんやりとさせ、訴求ポイントが弱くなり、結果にもつながりにくくなる大きな要因になります。

ペルソナが設定されない一因に「ペルソナ=理想の人物像」というマーケティング的な解釈の影響があると感じています。
「ウチみたいな中小企業じゃ、そんな理想像は採れない」
そう考えて、そもそもペルソナ設定を諦めてしまう企業が多いのです。

たとえば中小企業が、以下のような理想像を描いたとしましょう。
・前職は業界大手でプレイングマネージャーとして活躍
・出身校は社長と同じ大学
・趣味はサッカーで、好きなチームまで社員と一致
このような都合のよい求職者が、はたして現実に存在するでしょうか?

仮に存在しても、身の丈に合わない求職者は、そもそも応募してこない、もしくは採用できないのです。ある採用セミナーで、非常に腑に落ちた言葉を聞きました。

「自社の平均能力を100%としたとき、120%くらいまでが背伸びして採用できる限界。圧倒的に優秀な人材は、自社に入社する理由がなく、仮に入ってもマネジメントできない」

まさに、そのとおりだと感じています。だからこそ必要なのは「理想の人物像」ではなく、「実現可能な典型的ペルソナ」なのです。

つまり「理想の人物像」ではなく「典型的な人物像」を設定することが大切です。たとえば中小企業である自社が、次のようなペルソナを設定したとしましょう。

・前職は同業同規模の企業。プレイヤーとしては平凡だが、周囲の信頼が厚い
・出身校は常務と共通点がある
・趣味はサッカー

こうした人物像なら、過去に採用実績がある可能性も高く、現実的に感じられるのではないでしょうか。同じ項目でも「内容の現実味」があるだけで、急に採れそうな人物像に変わるのです。

 

求める人物像の項目は「できるだけ具体的」に

よくある疑問として「そんな現実的な人物像を描いて、本当に質の高い人材が採れるのか?」という声もあります。だからこそ、重要なのは「現実的で、かつ成果を出せる」人物像を描くことです。

たとえば、有名な事例としては、2017年にある自動車メーカーが展開した南武線沿線での求人広告が挙げられます。南武線沿線の10駅にポスターを掲示し、ターゲットを絞った求人広告を実施しました。

「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい。」といったキャッチコピーはSNS上でも話題となりました。
これは、ペルソナを用いて、行動エリアや現職を絞り込んだ採用活動の一例と考えられます。

このように「誰に届けるか」「どこで出会えるか」を明確にすることが、実際の採用結果に直結するのです。
ペルソナの項目例としては「出身校」「前職」「趣味」「好きなメディア」「行動エリア」などが挙げられますが、それらを埋めることが目的ではありません。

ある企業では「保有資格」がキーになるかもしれませんし、別の企業では「年齢」がキーになるかもしれません。このように、どの項目が採用成功につながるかを見極めることが重要です。
求める人物像の項目は、できるだけ具体的に記述することが大切です。

たとえば「飲食業」ではなく「カフェ」、「カフェ」よりも「スターバックス」のように、具体度が高いほど、反応する確率が高くなる傾向があります。
「該当する人」 × 「反応する確率」= 「反応する人」
この公式において「反応する人」を最大化するには、具体的な呼びかけにより「反応する確率」を高める必要があるのです。

私が印象に残っている事例をご紹介します。ある飲食業の企業では、求める人物像の一項目として「劣等感のある人」を設定していました。

飲食業界は、一見、華やかに見えるものの、下積みや地道な作業が多く、憧れだけではモチベーションが続きません。一方で、劣等感や挫折経験といったネガティブな感情は、自覚したくなくても、つい意識してしまいます。

しかし、この企業では、そうした「劣等感を原動力に変えられる人」こそが、結果的に継続力・忍耐力のある人材になりやすいと考えていたのです。

このように、人材要件(例:継続力)を、求める人物像(例:劣等感のある人)に翻訳することで、より具体的に"どこにいるのか"をイメージすることができます。

たとえば「スポーツ推薦で進学し、挫折経験を持っている人」や「偏差値が合わない大学へ進学した人」といった候補が考えられるかもしれません。

まとめると、採用活動におけるターゲット設計で重要なのは「理想のペルソナ」ではなく「実現可能な典型的ペルソナ」を設定すること。
これによって、ターゲットが完成し、現実的かつ効果的な採用活動が実現するのです。

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