2012年10月30日 公開
2023年05月16日 更新
《腰痛や肩こり、頭痛などに悩んでいるビジネスマンは多い。その原因は人によってさまざまだろうが、KIZUカイロプラクティックグループ代表院長の木津直昭氏は、「『間違った座り方』が一因になっているケースはとても多いと思います」と語る。
では、「間違った座り方」とはいったいどんなものなのか。それをどうすれば改善できるのか。ビジネスマンならばぜひ知っておきたい「正しい座り方」についてお話をうかがった(イラスト・勝山秀幸)》
※本稿は月刊誌『THE21』2012年10月号より一部抜粋・編集したものです。
東京・日本橋を中心にカイロプラクティックの施術院を運営する木津氏の許には、場所柄、多くのビジネスマンが来院する。
「幅広い年齢の患者さんがいらっしゃいますが、やはり30代、40代の方がいちばん多いですね。腰痛や肩こり、首の痛み、頭痛や四肢・関節の痛みなど、訴える症状は人によってさまざまですが、それらが複合的に絡み合っているケースもよくみられます」と木津氏。
30代、40代は仕事がもっとも忙しい時期だ。中年期は身体にもいろいろ変化が起きてくるから不調に陥るのも当然、と考えたくなるが、疲労や加齢だけが原因ではないと木津氏は語る。パソコンやスマートフォンを使ったデスクワークが、身体に大きな悪影響をもたらしているというのだ。
「本来、人間の身体というのは、歩いたり走ったりして活動するためにつくられています。ですから、長い時間机に向かって作業をするというのは、それがどのような座り方であったとしても、身体には負担になるのです。
そのうえ現代では、パソコンやスマートフォンなどを長時間使用するのが当たり前になっていますから、身体はより不自然な体勢を強いられています。これがオフィスワーカーの不調の大きな原因になっていると考えられます」
ビジネスマンが訴える不調のなかでも、木津氏が最近とくに増えていると感じているのが、「ストレートネック」という状態だそう。
「『ストレートネック』というのは、文字どおり首がまっすぐになってしまっている状態のことです。
人間の首というのは本来、重い頭を支え、力を逃がすために生理的なカーブをもっているのですが、悪い姿勢が習慣になってしまうと、そのカーブが伸びきって、まっすぐな状態が固定化してしまう。それが首の痛みや頭痛、腕の痺れなどにつながっているのです」
このストレートネックのような状態につながる「間違った座り方」には、いくつかのパターンがあると木津氏。これらがよくない姿勢であることはみても明らかだが、長時間のパソコン作業などが続くとラクな態勢を取りたくなり、ついこのような姿勢になってしまうのだという。
「問題は、これらの姿勢が『ラクな姿勢』であっても、『疲れない姿勢』『身体によりいい姿勢』ではない、ということです。
こういう座り方をしている最中は気分的にはラクかもしれませんが、じつは身体に大きな負担がかかっています。それが蓄積していくと、やがては首や肩、目、腰などの不調として現われてくるのです」
また、間違った座り方は、メンタルにもよくない影響を与える場合がある。たとえば、猫背が習慣になると、肺が吸い込む空気の容量が少なくなり、呼吸が浅くなる。
よく知られているとおり、呼吸とメンタルには密接な関係がある。呼吸が浅くなると自律神経に不調が出ることもある。身体はどこも痛くないからといって、姿勢について無関心でいられないのだ。
更新:11月22日 00:05