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50代部長の肩書きは資産ではなく「負債」 目減りする市場価値を上げる5つの方法

2024年11月19日 公開

間中健介(茨城大学講師)

 

競合会社の顧客になって相手の強みと弱みを知ろう

競合会社の顧客になろう

バランスシートをつけ、目標を明確化すること以外にも、ミドル以上の世代が人材価値を磨くために役立つ習慣・行動は無数にあります。ここからは、私が特に重要だと考えるものを5つご紹介しましょう。

まず1つ目は「競合会社の顧客になること」です。BtoC要素のある企業に勤める方の場合、その分野のものは必ず自社製品や自社サービスを使うという方が多くいます。しかし、それでは「自社のもの」に詳しくなるばかりで、相手の手の内を肌で知ることができません。愛社精神を持つのは良いことですが、自社が競合他社とどう戦うか考える力をつけるためにも、時には「自社以外の製品・サービス」にも手を伸ばしてみてください。

別の言い方をすれば、これは「自社の強みではなく、世間のニーズを知る努力をすること」とも言えます。競争に勝つためにはただ「旨いビールを作る」だけでなく、他社は今どんなビールを作っているか、いま消費者が欲しいビールは何なのか、ということまでリサーチしなくてはいけないのです。

こうしたことは、積極的に他社製品にも触れる習慣がないと容易にはつかめません。もちろん、つかんだニーズを自社での仕事にどう活かすか考えることも、同じくらい重要です。

 

職場以外の場所で役員の立場になってみる

2つ目は「職場以外の場所で役員になる」ことです。起業して社長になれればベストですが、会社員もしばらく続けるという方の場合、副業禁止のところも多いでしょう。そんな方は、ぜひ町内会やマンションの理事会、子どもの学校のPTAなどで、一定以上のポジションに就いてみることをお勧めします。

そういう役職は、多くの人にとって進んで引き受けたいものではありません。金銭的な見返りもなく時間を取られるうえ、厄介な人を相手にしないといけない場面もあるでしょう。

しかし、そういった経験をして初めて「肩書きや会社の看板が通用しない場所での心構えや話し方」を知ることができるのです。それを通じて、自分が思いもよらないような対人スキルを秘めていたことに気づける可能性だってあります。

別にトップに立とうとする必要はありませんが、職場以外のどこかで「自分が裸一貫の状態で主体的に動かないと物事が何も進まない」という経験をしておけば、第2の人生にもスムーズに移行できるはずです。

 

年下のロールモデルを探してみよう

身近な人からロールモデルを探す

ベテランと呼ばれる年齢になってくると、職場の人の「良くない部分」ばかりが目に留まるようになりがちです。ドラマや映画に登場するおじさんキャラにしても、結構な割合で嫌味だったり、いつも怒っていたり、そういう悪役寄りのキャラクターな気がしませんか。

そんな状態をリセットするためにぜひ試みてほしいのが、3つ目のお勧め習慣となる「身近な人の中から、ロールモデルになる人を3人探してみること」です。ロールモデルと聞くと、つい歴史上の偉人や偉大な経営者などを想像してしまうものですが、ここではあえて、いつでも会話ができるような身近な人の中から選んでみましょう。

偉人であれば、基本的には長所しか目につきません。しかし実際は、どんな人でも長所と短所を併せ持っています。例えば、「勤勉だけど仕事が遅い」とか「行動力はあるけどわがまま」といったところでしょう。そしてそういう場合、たいてい短所のほうが目立ちます。

しかし、ロールモデルになる部分はないか、という視点であらためて周りを見てみると、長所の部分を再発見することができるはずです。いわば「ないものねだり」ではなく「あること探し」の作業と言えます。

特にミドル以上の方の場合、年下の長所を正しく評価できずにいる場合が多いもの。ロールモデル3人のうち、最低1人は「年下の同僚・部下」から選んでいただきたいと思います。

 

世界の政治・経済と自分のサイフをつなげよう

株や投資信託を10万円分買ってみよう

残りの2つは一気にご紹介しましょう。まず、自分の人材価値を磨くには、時事にも常時アンテナを立てておく必要があります。そのためにお勧めなのが「とりあえず10万円分、株や債券、投資信託を買ってみる」ということです。

要するに10万円の投資なのですが、別に増やそうと思う必要はありません。10万円で、あなたの資産と世界経済をリンクさせられればそれでOK。暴落しても家計への影響は限定的だけど、さりとて気にしないわけにもいかない金額が、ちょうどこのくらいではないでしょうか。

世界の政治や経済についてのニュースに関心を持てるようになる「チケット」が10万円で買えるのであれば、安い買い物だと思います。

最後は「1日5アポ」を目指して日々人と会話する習慣をつけることです。社内でのポジションが上がると、次第に自分の足で誰かに会いに行き、話をする機会は減っていきます。しかし、人との会話こそ、仕事のマンネリ化を防ぎ、業務のワンパターン化を食い止めるものです。

アポを取るのは、社外の人でなくても構いません。社内の他部署の人と少し雑談する機会を設けるだけでも、きっとお決まりの日常に、新しい風が吹き込んでくることでしょう。

1日5アポを目標に人と話そう

 

著者紹介

間中健介(まなか・けんすけ)

茨城大学講師

1975年生まれ。派遣社員、コンサルティング会社社員、衆議院議員秘書、電通子会社社員、創薬関連団体役員などを経て、内閣官房企画官として8年超にわたり成長戦略の企画立案に従事。2021年より慶應義塾大学大学院特任助教、23年より現職。キヤノングローバル戦略研究所「政策人材プロジェクト」サブリーダー。企業団体の人的資本経営を支援。著書に『キャリア弱者の成長戦略』(新潮新書)などがある。

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2024年12月

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発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

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