2022年11月04日 公開
2023年02月01日 更新
世界的な調査によると、幸福感は、実は48~49歳頃に最も低くなります。しかし、その後は不思議なことに右肩上がりになります。本来、年齢を重ねるごとに、健康面や人間関係、仕事などでの喪失体験が増えていくはず。
それなのになぜか幸福感が上がっていくので、「エイジングパラドックス」と呼ばれています。原因には諸説あるのですが、その1つと考えられているのが、「SST(社会情動的選択性理論)」です。
50代、60代と歳を重ねていくと、人生の残された時間を短く感じるようになります。
すると、この先の有限な人生の中で、他者と親密な関係を築いていきたい、意義あることを重視して生きていきたいという思いが高まり、実際にそのように活動し始めます。その結果、幸福感が高まると考えられているのです。
この「意義あることをしたい」という思いを満たしてくれるものこそ、サードプレイスではないかと私は常々感じています。
家庭も職場も大切な居場所です。そこに第3の場所が加われば、さらに人生の意義を感じて、前向きに生きていくことができるはずです。サードプレイスがある人は、困難や危機、ストレスから回復する力(レジリエンス)が高くなるとも言われています。
年齢や地位、上下関係を忘れて、サードプレイスに足を踏み入れてみてください。そこで求められるのは「遊び心」。好奇心を忘れず、のびのび活動できる居場所を探してみましょう。これからの人生をさらに楽しめるようになるはずです。
【石山恒貴(いしやま・のぶたか)】法政大学大学院教授。1964年生まれ。新潟県出身。一橋大学社会学部卒。産業能率大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科政策創造専攻博士後期課程修了。大学卒業後、NEC、GE、米系ライフサイエンス会社を経て現職。「越境的学習」「キャリア開発」「人的資源管理」などが研究領域。著書に『地域とゆるくつながろう!』(編著/静岡新聞社)など多数。
(『THE21』2022年12月号特集「50歳から必ずやっておくべきこと」より)
更新:11月22日 00:05