従来の日本企業では新人の受け入れにおいて、既存の組織に合わせる組織社会化のやり方が主流でした。
しかし、日本でも急速に人材の流動化が進み、特定分野の経験が豊富な人材、必要なスキルを持っている人材に加わってもらうことが組織の強さを作る時代において、過去の受け入れ方を見直す必要があります。
それは、新しいメンバーの受け入れ自体がチーム作りになるということです。良いチームを作りたい、チームをもう一度活性化してレベルを上げたいと思うのなら、新しいメンバーを受け入れてしっかりオンボーディングするというのは遠回りのようで非常に有効な手法です。
例えば、いままで足で稼ぐことがベースであった営業部隊に、他社で経験を積み、デジタルを活用したアプローチにも詳しい人が加わった場合、営業担当という役割に加えて、チーム全体のデジタル化を推進する役割も設けて、チーム全体のあり方を変える方向にもっていくのです。
既存のチームに加わってもらうという発想ではなく、新しいメンバーに入ってもらうタイミングでチームの目標やビジョン、行動規範を見直すのです。
これまでのチームにはない強みやスキルを持った新しいメンバーが入ることで、マンネリ化していたチームの雰囲気が一変することもありますし、メンバーのエンゲージメントが高まることも多く見られます。
その要因は大きく3つあります。
第一に、原点回帰効果です。自分たちの仕事は何のための仕事なのかを既存のメンバーを含め皆が考え直す機会となり、仕事のやりがいにつながります。
第二に、共通目標効果です。新しいメンバーのオンボーディングについて目標を共有することがチームの一体感とメンバーの帰属意識を高めます。
皆でチーム目標や新人のオンボーディング目標といった同じ方向を向くことが一体感をもたらし、チームに所属している実感を得ることができます。
第三に風通し効果です。新たな役割と新たなコミュニケーション機会が増えることで、チームの風通しがよくなり、相互の支援が増えたり、貢献実感が増えたりします。
チームのアップデートのためにオンボーディングをうまく活用してください。
【上林周平(かんばやし・しゅうへい)】株式会社NEWONE 代表取締役社長。大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者としてプログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、生産性向上やイノベーションなどを支援する株式会社NEWONEを設立。米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー。
更新:11月22日 00:05