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入社早々浮いている?中途社員を「即戦力にする」リーダーの3つの心がけ

2022年11月07日 公開
2023年01月18日 更新

上林周平(株式会社NEWONE 代表取締役社長)

 

学びを捨て去る「アンラーニング」を促す

転職経験者はわかると思いますが、新しい職場のルールやカルチャーに慣れるまでには、それなりに時間がかかります。

また、「前の会社ではこうだった」「自分の知っているやり方のほうがいい」と感じることがあれば、積極的に取り入れてほしいとも思うでしょう。自分の知見や経験をもって会社にプラスをもたらしたいと考えるほど、「自分が知っているやり方」を推したくなるはずです。

しかし新メンバーを迎えるリーダーがやるべきことは、既存のルールやカルチャーにメンバーを当てはめることでも、新メンバーの意見を全部取り入れて既存のルール・カルチャーを破壊することでもありません。

双方のいいところを取り入れて、チームをアップデートすることです。

そのために必要なことは2つあります。

1つは、客観的な視点で既存のカルチャーやルールを言語化しておくこと。当たり前になっているカルチャーやルールができあがった理由や背景を、きちんと説明できるでしょうか。

新メンバーが「なんでこんなルールがあるんですか?」と疑問に思ったとき、明解に説明できなければ不満を抱くでしょうし、納得できればスピーディーかつ深く理解が進むでしょう。

もう1つは、新メンバーに「アンラーニング」を促すことです。アンラーニングとは「学習棄却」と訳されます。要するに、以前の会社や職場で身につけた思考や行動のパターンをいったん白紙にしてもらうことです。

新メンバーが、今の会社と前の会社を比べてしまうのは仕方がないのですが、良くも悪くも前の会社のことを知りすぎていて、ある種のバイアスがかかってしまう懸念があります。

フラットな視点でチームを再構築するには、過去に学んだことを一度「抜く」ことも必要です。そのうえで、今の会社のカルチャーやルールを理解して、本当にチームのためになることだけを新たに持ち込めるのが理想でしょう。

ただ、リーダーは「うちのやり方はこうだ! 前の会社のことは忘れろ!」と強制してはいけません。

先ほど述べたように、今の会社のカルチャーやルールができた理由をきちんと伝えて、「前の職場とは違うかもしれないけど、うちのチームはこういう考えでこうしている」といった形で、さりげなく促していくのが上手なやり方です。

カルチャー伝達とアンラーニングは、一度にまとめてやろうとしてもうまくいきません。初期段階に1on1ミーティングを週1回程度のペースで、少しずつ反復して行うことがコツです。

 

リーダーの仕事は「人と人をつなぐ」こと

オンボーディングにおいてメンバーとどのようにコミュニケーションを取ればいいのか。現場のリーダーにとって悩みどころだと思いますが、重要なのは「人と人とをつなぐ」コミュニケーションです。

新しいメンバーは通常、周囲との関係について様子見になりがちで、積極的に既存メンバーに話しかけたりすることは少ないでしょう。最近はエンゲージメント向上のためチームの側から積極的に歓迎行動を行うこともあり、より受け身になりがちです。

そこでリーダーは、新しいメンバーに関係づくりのきっかけを与えます。「これは〇〇君が詳しいから後で質問してみて」「あなたは〜が趣味だそうだけど、〇〇さんも同じだから昼休みに声を掛けてみたら」などさりげなく背中を押してあげましょう。

また、チームや社内での人的ネットワークを構築することです。いまの時代、一人で業務が完結することはごくわずかであり、通常は様々な人とのやり取りや支援が必要です。

前職での実績からすれば同じようなパフォーマンスを期待していたのに、うまく結果が出ないときは、社内ネットワークに原因があることがよくあります。

前職では業務上のキーマンと親しかったり、いろいろ手助けしてもらえる人脈があったのに、転職してすぐにはそうしたサポートが得られていないのです。

これは、複数の中途採用者の間で、ほぼ同じような経験、スキル、能力を持ちながらパフォーマンスに差が見られるときにもいえます。

そうした場合、リーダーは「ノウフー(Know・Who)情報」を提供してください。具体的には、社内人脈のハブになるような人、関係する他部署に必要なときにつないでくれる人などを紹介しましょう。

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