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“逃げ切れる”とは限らない...中年社員の今後を左右する「1分の学び直し」

2022年06月05日 公開
2024年12月16日 更新

読書猿(ブログ「読書猿Classic: between / beyond readers」主宰)

 

「不完全燃焼」の感覚が学ぶモチベーションになる

学び直しに興味はあるが、そんな時間はない、という方もよくおられます。ですが、私としては「本当に1分たりともありませんか?」「信号待ちの時間もないんですか?」と逆に質問したいと思うんです。

まとまった時間がないと学ぶのは無理、と考えるのは学習観が狭く凝り固まっているのだと思います。1分あれば、英単語が一つ覚えられます。これだって立派な「学び」ですよね。

こう言うと「でも、たった1分しかないと中途半端なままで終わって、フラストレーションが溜まります」と返す人もいます。しかし実は、それこそ「1分学習」のもう一つの狙いです。

ものごとを中断させられると、もっとやりたくなるのが人の性というもの。単語を一つ覚えられるかどうかのところで信号が変わってしまった、せめて2~3個はまとめて覚えたかった……こうした「不完全燃焼感」が、人を再度の学習に向かわせる強力な動機づけになるんです。

ですからまずは1分、あるいは数十秒でも構いません。とにかく学び始めてください。その1分が、10年、20年続く学習につながっていくかもしれないのです。

そう考えると、私たちは毎日毎日、学び直しにつながる貴重な1分を、いともたやすくポイポイと捨てていることがわかります。あまりにもったいないですね。

要するに、やる気が出ない理由は、やっていないからなのです。どんなに小さな動き出しでも構いません。まずは最初の一歩を踏み出すことが肝心です。

 

理想の学び方は「楽に始めてどんどん挫折」

さて、ここまで話したことと一見矛盾するようですが、学び直しというのは、なかなか続かないのが当たり前、という認識も持っておきましょう。

でも失敗しても、次の機会にまた学び始めればいいだけのこと。挫折が怖い、時間を無駄にしたくない、と言って何もしない人より何倍も生産的です。

かくいう私も、幾度となく挫折を経験しました。始めたその日のうちに「これは無理」と思い、eラーニングを退会してしまったこともあるくらいです。

また、語学に至っては今までに7~8カ国語に挑戦しましたが、みな途中で放り出してしまいました。でもそれも、今学んでいるものがひと段落したらまた性懲りもなく再開しようと思っています。

何かに挫折したからといって、もう一生それを学んではいけないなんて決まりはありません。むしろ、挫折し、それでも再開する人のほうがずっと先へ行ける。

学び続ける人とは挫折しなかった人ではなく、転ぶたびに立ち上がる人なんです。

失敗することを重く捉えず、もっとカジュアルに学び始め、もっとカジュアルに挫折すればいいのです。そうすれば、学びのハードルだってぐっと下がっていきます。

そんなに簡単に挫折していたら何もモノにならない、もっと慎重に行動すべき、と思う人もいるかもしれません。ですが、学んだことが100%成果に結びつかないと納得できないのでしょうか。どんなことも必ずモノにできるほど優秀な人間が、この世界にいるのでしょうか。

理想通りの自分にならなかったからといって、落ち込む必要なんてありません。ほとんどの人は、理想通りの自分になってなどいないはずです。それでも理想には意味がある。

北極星にたどり着いた人はいませんが、古来あの星はたくさんの旅人や船乗りを導いてきました。私達は皆、理想と比べればいつだって不完全です。だからこそ学ぶことがあり、学び続ける理由がある。

それに、仮に挫折してしまっても、挫折する前よりも成長していることは確実です。もし英語を勉強したなら、仮にTOEIC900点という大目標を達成できなかったとしても、以前よりずっと多くの英単語を覚えているはず。それだけで十分素晴らしい成果ではありませんか。

小さな成長を拾い上げ、その都度喜ぶことができれば、それを励みに少しずつでも前進することができます。その積み重ねこそが、いずれ成果につながるのです。

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