さて、ここからは具体的な「読み方」の話。と言ってもいきなり読み始めるのではなく、まずは目次を見ながら大体の構造を予測しましょう。私はこれを「階層化」と呼んでいますが、目次から全体の話の流れを把握し、この章ではこれを拾おう、という目的を整理します。このとき、ただ頭の中でサッと整理するのではなく、付箋などを使ってしっかり文章化するのが理想です。
その後読み進めていく際も、のめり込みすぎは禁物。読みながらも、書き手の考えをかみ砕き、自分なりの「答え」を構築していきましょう。第三者に聞かれたとき、本の受け売りではない自分の言葉で話せるくらいに「持論化」できれば最高ですね。1冊だけではどうしても受け売りになる部分が出ますから、似た分野の本を何冊か読み、取捨選択しながら持論を構成するのが良いでしょう。
そのためにもう一つお勧めしたいのが、キーワードマップを作ることです。文中の用語や用語同士の関係を整理し、自分の言葉で言い換えてみます。
これのメリットは大きく分けて二つ。一つ目は、用語の意味がしっかりわかること。変に見栄を張って漠然と難しい語句をこね回すのではなく、まずは語句を一つずつ自分の中に落とし込むことで、より深くまで考えることができるようになります。これも、先ほど申し上げた「持論化」の大きな助けになるでしょう。
そして、もう一つのメリットが「順序の整理」ができることです。テレビやYouTubeを見てもわかりますが、説明上手な人は、順を追って話すのがうまいですよね。それと同じで、論の構造を整理・把握することで、自分の理解度も格段に上げることができるのです。
ここまで読んで、それでは「読書」という感じがしない、と言う方もいると思います。ですが、それはむしろその通り。思考本を読む際は、あまり「読書」だと思いすぎないほうが良いのです。
読書ではなく、あくまで問題を解決する手がかりを見つける「手段」の一つ。もし自分とよく似た仕事スタイルの頼れる先輩がいるなら、本を読むよりその先輩に質問したほうが良い場合だってあり得ます。そのくらいの態度でいるほうが、むしろ収穫の多い読み方ができるのです。
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更新:11月22日 00:05