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「『天然鉱石+水』で安価な水素をつくる」Hydrogen Technology社長 山本泰弘

2021年08月07日 公開
2021年08月07日 更新

【経営トップに聞く 第51回】山本泰弘(Hydrogen Technology社長)

今年度中に日本初の「水素専焼発電所」を運転開始

――どのくらいの量の水素を作れるのですか?

【山本】反応タンク1つで、水を800リットル入れて、1時間で最大200立方メートルの水素を発生させられます。水は300リットルあればいいのですが、タンク内から酸素を抜くために多く入れています。

 AのタンクがいっぱいになったらBのタンクで反応させ、BがいっぱいになったらC、そしてAと、自動で連続運転することもできますし、AとBだけを連続運転させたり、複数を同時に運転させたりすることもできます。

 今は反応タンクを3つ置いていますが、以前は6つありました。6つ同時に反応させて、1時間で1200立方メートルの水素を発生させると、燃料電池を使って2000kWの発電ができます。太陽光発電だと8000坪くらいの面積が必要な電力です。それを実際にやろうと思っていたのですが、2000kWの燃料電池は6億~7億円もするとわかって、やめました(笑)。

 ちなみに、福島県浪江町に世界最大級の水素製造施設ができましたが、生産量は1時間1200立方メートルです。そのために広大な土地を使って太陽光発電をしています。当社の方法のほうが、面積当たりの生産性がはるかに高いです。

――発生した水素は、別のタンクに流れていくんですね。

Hydrogen Technology
左が「洗浄タンク」。右は反応タンク

【山本】「洗浄タンク」に入ります。洗浄タンクと言っても、何かを洗っているわけではなくて、水を使った逆火防止弁です。通常の逆火防止弁を水素に使うと早く劣化してしまうので、水の入ったタンクを使っています。

 洗浄タンクを出た水素は、一時貯蔵タンクを経て、屋外の外部貯蔵タンクに入ります。以前は4つでしたが、2つ追加しました。

Hydrogen Technology
外部貯蔵タンク

 イーレックスと計画を進めている水素専焼発電所では、1時間300立方メートルの水素を24時間燃焼させます。外部貯蔵タンクが6つあると、低圧で900立方メートル、3時間分を貯蔵できます。

 外部貯蔵タンクの水素が減ったら、自動的に水素を発生させて供給するようにします。反応タンクは、1時間400立方メートル作れる大きなものを1つ増やす予定です。

――イーレックスと建設する水素専焼発電所の出力は360kWだということですが、ここのプラントだけで十分な水素を供給できるわけですか?

【山本】そうです。発電所は、隣の駐車場だった場所に建設する予定で、外部貯蔵タンクから低圧のまま配管を通して水素を供給します。

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水素専焼発電所の建設予定地

 360kWというのは小さいのですが、大きな発電所を作るには時間がかかるので、まずは日本初の水素100%による商業発電を実現して、実績を作りたいと考えています。今年8~9月に基礎工事を始めて、来年の年明け早々にテスト運転をする予定です。

――発電機は?

【山本】ドイツ製のレシプロエンジンを使います。水素100%で回る発電用のエンジンは、これが世界で2台目だと聞いています。1台目は、同じ会社が実証用に作ったものです。

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