2021年07月09日 公開
――お二人のお話を聞いていると、野球が上達するだけでなく、「人間的に成長してもらいたい」という意識が強いことがわかります。そこも踏まえて「野球の魅力」とはどんなことだとお考えですか?
【井戸】野球の魅力はやはり、その注目度の高さだと思います。プロ野球はもちろんですが、高校野球や大学野球、そして社会人野球の試合にも大勢の人が詰めかけます。これだけ注目される中で何かをやる機会というのは、そうそうありません。
また、いろいろなルートがあるのも魅力です。上はメジャーリーグやプロ野球、各地に独立リーグもありますし、働きながら野球ができる社会人野球もある。こんなに恵まれたスポーツはないと思います。
ちなみに私も社会人野球出身なので、社会人野球をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いがあります。実はかなり人気があり、例えば「都市対抗野球大会」の決勝戦では毎年、東京ドームが満員になります。しかもトーナメント制なので一度負けたら終わり。だから、負けたら大の大人が泣いて悔しがる。高校野球と同じか、それ以上に面白いと思います。
【橘田】私は野球の魅力として、「自分の能力を生かすことで、いろいろな活躍の場がある」ことがあると思います。力の強い人がバッティングで活躍する一方、足が速い人は走塁で、守備がうまい人は守備でと、誰もが自分の力を生かす場所がある。
そして私もぜひ、女子野球を一度見てもらいたいと思います。女子野球は男子野球に比べまだまだ未整備なところが多いですが、それだけに、徐々に発展していく面白さを感じてもらえるのではないかと思っています。
私はいつも生徒たちに、「君の頑張りが10年後の女子野球を創るんだよ」と熱く語っています。生徒からは「また言ってるよ」みたいに思われているかもしれませんが(笑)。そのためにも、彼女たちには野球を好きなままで卒業してもらいたいと思っています。
【井戸】おっしゃる通り、やはり野球が好きな人をいかに増やすかが重要です。だからこそ私は「野球人口の低下」について、強い懸念を抱いています。
これを解消するためには、子供に対するアピールはもちろん、野球をやらせたい親を増やすことも重要だと思っています。特にお母さんですね。お母さんが子供が野球をやることに反対するケースが多いのです。
そのために意識しているのが、指導者の質を高めることです。関メディベースボール学院では、阪神タイガースのトレーニングコーチだった伊藤敦規さんや、東北楽天ゴールデンイーグルスのコーチだった佐藤義則さんといった、プロ野球で実績を上げた一流のコーチに指導してもらっています。プロから教わったら一発でその違いを理解できます。
【橘田】女子野球としてもお母さんのファンを増やしたいですね。実は、小学生の女子で野球をやっている子は意外と多いのです。ただ、中学、高校とどんどん減ってしまう。続けてもらうには本人の気持ちが一番ですが、やっぱり親御さんのサポートも必要です。
そのためには、「あそこの女子野球部に入部したら生きる力が向上する」と思ってもらうことが重要です。
【井戸】本当にその通りです。ぜひ「野球をやると人生に役立つ力が身につく」ことを一緒に証明していきましょう。本日はありがとうございました。
【橘田】こちらこそ、ありがとうございました。
更新:11月22日 00:05