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50代求人は「若手の16分の1」…ミドル社員が「転職」より「独立」を選ぶべき理由

2021年01月14日 公開
2023年03月31日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

転職

転職市場で提示される年収が、現在の客観的な評価

ただし、私は年収ダウン自体をリスクであるとは考えません。年収が下がっても、より働きがいのある仕事に取り組むことができるなら、お金にこだわるよりよっぽど充実した第二の職業人生を送ることができるからです。

ミドル・シニアのキャリアにおいては、高年収に対するこだわりが捨てられない人はそのマインドそのものがリスク要因です。

特に日本企業におけるミドルの給与は、決してその人の現在の能力を適正に反映して決まっているものではありません。年功序列をベースにした評価システムがあったからこその金額なのです。

むしろ、転職市場で提示される年収が現在のあなたの客観的な時価評価。公募転職に臨む場合は、その現実を受け入れることが最低限必要で、自分を客観視する意識改革ができないまま公募転職に臨むと、失望を味わうことになる可能性が高いでしょう。

知人の人材紹介企業経営者によると、コロナ禍で将来不安が高まり大企業からの転職希望者が増えているとのこと。転職希望者の中には、困った企業ミドルの事例が増えているといいます。

典型的なのは「どの業界が安定しているか」「どれくらい給料をもらえそうか」といった質問だとか。

自らの市場価値を客観視できておらず、組織への依存心が強く、何よりキャリア展望を持てていないことが問題です。こうした肝心な部分を考えずに、なんとか安定した船に乗り換えたいという姿勢ばかりが目立つというのです。

不安にさいなまれる気持ちは理解できますが、これでは満足のいく転職など望むべくもありません。

 

一緒に働くようになったとたんに、人間関係がうまくいかなくなることも

なお、リファラル転職であれ、エグゼクティブサーチを介した転職であれ、公募転職であれ、転職の場合は上司や経営者との相性の問題はつきまといます。

リファラル転職であっても、友人・知人に請われて転職するとはいえ、誘ってくれた人が直属の上司になるとは限りません。大企業で、上司との人間関係にストレスを感じていた人は、転職した先でも同じようなストレスを味わう可能性は十分あります。

さらには「ヤマアラシのジレンマ」という事態も往々にして起こります。これは、ヤマアラシは鋭い針毛を持っているため、互いに寄り添い合おうとすると、自分の針毛で相手を傷つけてしまうため、結果として近づけなくなるという寓話です。

つまり、取引関係など適度な距離感で付き合っているうちはうまくいっていた人間関係が、直接の上司部下になったとたんに互いの粗が目立ち、うまくいかなくなるというケースも珍しくないのです。

本当に相性の良い上司・経営者と巡り会えるかどうかはあくまで運次第。そこが「転職」という選択肢の限界と言えるかもしれません。

 

最もおすすめは「ひとり社長」になること

そうした中で、私が50代のビジネスパーソンに提案したいのは、人生を懸けた無謀な冒険ではなく、仮に失敗したとしてもダメージを最小限に抑え、やり直すこともできる「ローリスク独立」です。

それは、ずばり「ひとり会社」の設立です。ひとり会社とはいえ、社長になることをあなたに提案します。

働き方改革で副業解禁の流れが出てきていますが、現実的には他社の仕事を容認している企業は少なく、社内の他部署兼務にとどまっています。

一方、独立すれば、顧客は自分で開拓し拡大することができます。収入源の数を増やしておくことは、変化の激しいこれからの時代のリスクマネジメントには非常に重要なこと。これは独立の大きなメリットの一つです。

とはいえ、「自分には独立して通用するほどの実績もスキルもない……」と尻込みする人もいるでしょう。

しかし、企業で20年、30年とキャリアを重ねてきたミドルに「何もない」ということはあり得ません。蓄えられた知恵、磨かれてきたスキルが何かしら必ずあるはずです。

要は、その知恵やスキルが市場のニーズに対応するかたちで顕在化されていない、時代に合わせたブラッシュアップがされていないということなのです。であれば、皆さんがすでに持っている価値を浮き彫りにするための努力をすればいい。

では、何をすればいいのか。それについては、拙著『50歳からの幸せな独立戦略』に詳しく書いていますので、ぜひお読みください。

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