【アスリート×社長特別対談】「挑戦」を楽しめる人だけが成功する

「現場の挑戦」をいかにサポートするか

川崎　松本社長のプロフィールで驚いたのが、一般企業で3年間働いてから跡を継がれたのですね。これはなぜですか。

松本　社員と一緒に会社を発展させていくには、現場の実務も知らなくてはならないと思ったからです。今でも私は単なる経営者ではなく、野球で言えば選手兼監督のつもりでいます。

川崎　いいですね。現場がわかっているリーダーだと、下の人も働きやすいです。日本の野球の世界では、一流の選手が引退後すぐに監督になるケースがあります。しかし、一流の人はそうでない選手の気持ちがわからないことも多いのです。その点、アメリカではどんな名選手でも、マイナーの監督やコーチを経験させ、毎試合後レポートを書かせたりして、下積みの経験をさせるんです。

松本　私は選手兼監督ではありますが、やはり現場のことは現場の人が一番よくわかっている。だからこそ、彼らにやる気を出してもらって、どんどん挑戦してもらうのが、経営的にも一番いいと思ってるんです。

川崎　僕も若手が海外で挑戦するのは大賛成ですね。ただ、僕のようなマイナー契約じゃなく、メジャー契約を勝ち取ってからのほうがいいとアドバイスしますけれど（笑）。

松本　やはり、そんなに違いますか？

川崎　メジャー契約が正社員なら、マイナー契約は子会社に雇われて、必要なときにメジャーに派遣されるようなものです。待遇も全然違い、メジャー昇格が決まるとリムジンが迎えに来ますが、マイナーに降格された瞬間、自分でタクシーを呼び、荷物を持って移動しなくちゃいけない。

松本　それは大変ですね（笑）。ただ、だからこそハングリーさを失わないのかもしれません。

当社にも最近、挑戦を求めて大手企業の優秀な人材が入社することが増えています。そんな人にとって、日米だけでなく今は台湾で挑戦をする川崎選手の姿はとても刺激になると思います。

川崎　今年はコロナの影響で行けていないのですが、台湾の野球も面白いですよ。

松本　コロナ問題が収束したら、ぜひ見にいきたいです。

川崎　ぜひ。台湾ビールを飲みながらの野球観戦は最高ですよ！

（記事初出：『ＴＨＥ２１』2020年10月号）