2020年07月21日 公開
2023年02月21日 更新
そう考えると、お金を逃がす先の候補は絞られてきます。具体的には米ドル、イギリスポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドルといったところでしょうか。ここでは詳しくは触れませんが、ユーロはある「構造的欠陥」を抱えているため、あまりお勧めできません。
どれを買ってもいいのですが、中心に据えるべきはやはり、米ドルでしょう。
日本円の金融資産をどのくらい持っているかにもよりますが、当面の生活には使わないであろう余裕資金は、ドルおよびドル資産に替えておくことをお勧めします。ちなみに私は資産のかなりの部分をドルに移しており、日々の生活に使う円が足りなくなって困るほどです。さすがにこれはやり過ぎにしても、ある程度まとまった金額をドルに移してしまってもいいのではないかと思います。
「自分にはそもそもドル資産に替えてまで守るべき資産なんてない」「住宅ローンの返済や教育費などで家計は火の車」という人もいるかもしれません。しかし、そういう人たちこそ、今から準備を始めるべきです。今、貯金がまったくないというなら、毎月の積立でドル資産への投資を始めていくという方法もあります。
ではなぜ、米ドルなのか。アメリカに留学し、アメリカのモルガン銀行に長年勤めていたため、「フジマキはアメリカがよほど好きなのだろう」と思われるかもしれませんが、まったくの誤解です。私はむしろアメリカ出張が大嫌いで、なんだかんだと理由をつけてほとんど行かなかったくらいです。
そんな私が「ドルを買え」と言い続けているのは、「アメリカが好きか嫌いかは別にして、その勢いが衰える材料は見当たらない」というのがその答えになります。
アメリカは政治・経済・軍事すべてにおいて世界最強です。かつてほどの国際政治力はないとしても、経済では依然としてGDP世界第1位。ここ15年のGDPの推移を見ると、リーマンショックの影響で2009年のみ後退したものの、それ以外は軒並み成長し続けています。GDPが巨大になれば成長率は下がっていくものですが、あのドデカい図体でもかなりの成長を続けているのには感心します。
2017年にトランプ政権が誕生してからは株価も絶好調で、2020年2月12日には、2万9551ドルまで上昇しました。コロナショックによって一時は2万円台を切るまで大暴落しましたが、その後立て直し、2020年6月12日時点で、2万5605ドルまで回復しています。
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アメリカ経済の強さは「多様性」と「金融のプロ」の存在にあり >
更新:12月04日 00:05