2020年6月1日に予定されている「パワハラ防止法」の施行まであと3カ月を切った。企業にパワハラ対応を義務づけるこの法律の施行により、これまで以上に「パワハラ」への風当たりが強くなることは必至だ。
では、パワハラを繰り返してしまうような上司にはどんな特徴があるのか。長年、労働法制に携わり、この3月にパワハラ防止法に対応した新しいルールを解説する『「職場のハラスメント」早わかり』を発刊する布施直春氏にうかがった。
(本記事はPHP研究所刊『「職場のハラスメント」早わかり』より一部抜粋・編集したものです)
2020年6月1日より施行される「パワハラ防止法」。
企業に対してパワハラ防止対策を義務づけるこの法律により、経営者や人事・労務担当者は対応に追われていることかと思います。
ただし、実は今回の法律施行を最も恐れているのは、むしろ「どうやって部下に接すればいいのか」に悩む現場の「中間管理職」かもしれません。
チームの業績アップのためには、部下に動いてもらわなくてはなりません。そして上司には、部下に対して指揮命令する権限も与えられています。
ただ、誰もが言われたとおりに動いてくれるとは限りませんし、その際、厳しく言いすぎると、「パワハラ上司」というレッテルを貼られてしまう。いったい、どのようにチームをマネジメントすればいいのか……。
しかも昨今、職場のパワハラに対する社会的な批判が高まるにつれ、パワハラを行ったとされる人への厳罰化が進んでいます。「業績を出していれば、会社だって大目に見てくれるはず」というのは、甘い考えでしょう。もし、企業が「パワハラ隠し」に加担していたとなると、世間からの批判はより大きなものになるからです。そもそもネットやSNSがこれだけ発達した昨今、パワハラを隠すことは極めて難しくなっています。
もちろん、最初から悪意を持ってパワハラ行為を行っているような人は論外であり、厳しく罰せられるべきでしょう。
ただ、本人としては心の底から良かれと思ってやったことかもしれません。「自分はこの会社でそのように育てられた」ということで、それが当然だと思っている人もいるでしょう。
そんな誤解を持ったまま罰せられる上司もまた、見方によっては被害者と言えるかもしれません。
更新:11月23日 00:05