2019年04月02日 公開
2023年03月10日 更新
この4月1日から施行された「働き方改革関連法」。その目玉の一つが年休についての改正だ。年休取得が義務化され、社員が年休を取らないと会社が罰せられるなど、ルールが厳しくなるという。具体的にどう変わるのか。そして、このような法規制が導入された背景とは? 労働法の専門家である布施直春氏に、近著『「働き方改革関連法」早わかり』より、「年休の新ルール」についてうかがった。
「日本人の年休消化率が低い」というのは、以前からずっと指摘されていたことでした。
2010年(平成22年)6月に閣議決定された「新成長戦略」では、年休の取得率を2020年までに70%にすることが政府目標とされています。
しかし、2017年の年休の平均取得率は51・1%(平成30年「就労条件総合調査」)。なんとか50%を上回ったものの、目標までにはまだまだ遠いのが現状。また、正社員の約16%が年休を1年間に1日も取得していないという調査結果もあります。
このような状況を改善すべく、「働き方改革関連法」では、年休の取得を進めるため、使用者に、従業員に対して年休取得の時季を指定して取得させることを義務づけることとなったのです。具体的には、1年間に10日間以上の年休を付与される労働者に対し、そのうち5日の年休について時季の指定が義務づけられます(時季とは法律用語ですが、ほぼ「時期」と同じだと考えてください)。
つまり、「会社は10日以上年休がある人に、必ず5日以上休みを取らせなさい」となったのです。
さて、そもそも、年休とは「年次有給休暇」の略称で、会社によっては「有給休暇」と呼んでいるところもあるかと思います。
年休は、会社がその人を雇い入れてから最初の6カ月は与える必要はありませんが、入社から6カ月経過後に、その6カ月間の全労働日の8割以上出勤した人に対して、10日間の年休を与えるというのがルールとなっています。
毎年徐々に与えられる日数が増えていき、勤続6年6カ月で上限の「1年間に20日」に達し、その後はずっと1年20日のままです。
更新:11月22日 00:05