今も昔も、「雑談が苦手」という悩みは尽きないもの。たとえば、「初対面で何を話していいかわからない」「話がつまらないと思われていないか不安」「とにかく沈黙が訪れるのが怖い」などなど...。
しかし、放送作家でありながら、科学的に研究されたトークメソッド「インプロ(即興力)」の養成講師として活躍する渡辺龍太氏によれば、雑談上手と雑談下手の違いは「紙一重の違い」に過ぎないと言う。
そこで今回は、そんな渡辺氏の著書『雑談がおもしろい人、つまらない人』(PHP研究所)の中から、「タブーな話題の取り扱い方」について語っていただいた。
雑談をお互いのキャラクターの理解だと考えていると、話題の幅も自然と広がります。たとえば、相手が割とフランクなキャラクターだとわかれば、ちょっとタブー感のある話題も振ることができます。
タブーな話題は、いつでも振れるような話題ではありませんが、そういう話題が許される相手であれば、この手の雑談は非常に盛り上がります。
しかも、一度でもタブーな話題で盛り上がった相手とは、不思議と一体感が生まれます。この一体感は、その後の人間関係において、意外と馬鹿にならないものです。
あまり明言はしませんが、私の周りでも、仕事の実力がそれほど高いとは思えない人が、権力のある人物から不思議と気に入られている場合、その裏ではこうした「タブーな雑談」で盛り上がった経験がある、なんてことがあったりします。
さて、一方、雑談を苦痛だと感じていたり、相手のキャラクターに無関心で、情報交換だけすればいいと思っている人は、タブーで盛り上がるような話題はできません。
たとえば、次の会話のように、いい話、役に立つ話などをして、お互いに良いことしか言えない雰囲気の雑談をしがちな人は結構いると思います。
A 「今日も結構、遅くなりましたね」
B 「そうですね。さすがに連日だと疲れますね」
A 「まあ、残業代も出てるし、ありがたいと思わなくちゃダメですよね」
B 「そうですよね。出ない会社もある中、出てるだけマシですよね」
A 「では、お疲れ様でした」
B 「お疲れ様でした」
これは別に悪い雑談ではありません。しかし、どこか距離感のある会話でもあります。
更新:11月23日 00:05