2020年01月10日 公開
2020年01月15日 更新
1月8日にレバノンで行われたカルロス・ゴーン氏の会見には、日本のみならず世界中のメディアが集まった。自身の問題を棚に上げ、日本の司法制度を糾弾した内容には賛否が飛び交っているが、世界の注目を集めたことは紛れもない事実だ。
だが、「これだけで終わるとは考えないほうがいい」と指摘するのは、著書『「名経営者」はどこで間違ったのか ゴーンと日産・20年の光と影』にてゴーン氏の行動原理を解き明かした法木秀雄氏(元日産自動車北米副社長・ビジネススクール教授)だ。それはどういうことなのだろうか。法木氏にうかがった。
1月8日にレバノンで行われたゴーン氏の会見を見てつくづく思ったのは、「昔の自信たっぷりのゴーン氏に戻ったな」ということだった。
身振り手振りを交え、言いたいことを一方的に発信する姿はまさに、日産をV字回復させ、名経営者と呼ばれたころの彼の姿そのものだ。
一方、話の内容は正直、驚くようなものではなく、あくまで事前の想定内のものだった。
そもそもファクトベースで自分の潔白を証明できない以上、感情論に訴えるしかない。だからこそ拘留や尋問の際の非人道的な扱いや、家族と会えなかったことの寂しさなどを切々と語り、日本の司法制度の問題を訴えるという戦略に出たわけだ。
その内容も、正直、ある程度のインテリジェンスのある人なら、「本当か?」と疑いの目で見るようなものだったと思う。
ただ、何も事情を知らない一般の人に対しては、大いに影響力があっただろう。
もちろん彼はそれを意識している。会見場に入るメディアを選別したのもそのためだ。
更新:11月25日 00:05