2019年12月26日 公開
2023年10月24日 更新
楠木 あと、もう1つ絶対悲観主義のいいところは、傍から見ると謙虚であるかのように見えるんですよ。本当は全然謙虚じゃないんですけど(笑)。
――便利ですね。
楠木 ええ、傍から見ると、謙虚であるかのように見える。例えば、自分に都合よく考えないので、時間に遅れたりしません。必ず相手よりも前に入ってるから。遅れると、二度ともう相手にされないのかなと思うので。
翻って、嫌なのはお誕生日ですね。お祝いをみんなで集まってしてあげましょうって。もうね、その場でハッピバースデーとか言われてると、「えっ、僕の事?」ってね。もうね、嫌なんですよ。人からよくしてもらうとかがね、身体でうまく受け止められないんですね。いいことがなかったんで。慣れてないんですよ、幸せに。
――そういうことなんですね。
楠木 でもね、そういう場で、ありがとうって自然に言える人、いますでしょう。あれ、純粋に羨ましいなと思うんですけどね。僕は「すぐに解散しなくていいんですか? 皆さん、お忙しいと思うんですけど、僕がお金全部払いますから……」みたいに、思っちゃうので。
伊藤 なるほどね。
楠木 ひとことで言うと、かなり歪んでるなって。「おまえ、よっぽど辛いことあったんだろうな」っていう。ないんですけどね、べつにそんな辛いことも。ただ、根がそうなんでしょうね。
だから若い人で、根拠のない自信を持ってる人と出会うと素晴らしいなと思います。僕の場合の自信は、常に絶対悲観を突き破って入って来るんですよ。ダメだろうなと思ってやって、結構うまくいった。意外だなと。次にやったら、またうまくいった。次やって、ますますうまくいったりすると、「あれ、うまくいかないはずなのにおかしいな……」となる。で、これは向いてるのかなという自己認識が出てきて、ようやく自信になる。
伊藤 事後的ですよね。
楠木 はい。
次回は12月27日更新です
更新:11月22日 00:05