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原因物質は40代から蓄積する?認知症リスクを抑える「4つの習慣」

2023年02月02日 公開

広川慶裕(ひろかわクリニック院長)

広川慶裕 認知症

現役バリバリのミドル世代にとって、認知症はまだまだ遠い存在。ほとんどの人は「うちの親は大丈夫かな?」と家族の心配をするくらいだろう。しかし、認知症専門医院「ひろかわクリニック」を営む医師の広川慶裕氏は、認知症の原因物質は「40代」から脳に溜まり始めると指摘する。

※本稿は、『THE21』2023年1月号特集「40代・50代から衰える脳 伸びる脳」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

認知症は「生活習慣病」の延長線上

認知症と言えば、高齢者の病気。親や高齢の親戚は大丈夫だろうか──そんな「他人事」的な考えを持ってはいないでしょうか。確かに認知症が「発症」するのは、多くの場合年を重ねてからかもしれません。

しかし、認知症予防専門医として、長く現場で予防や治療に取り組んできた私に言わせれば、認知症は「症状が出る前」からの予防習慣が必須です。

では、具体的にいつから「予防」を意識するべきか。それはズバリ「40代」からと考えてください。

そんな急な、と思われるかもしれませんが、これには2つの理由があります。1つは、私の考えでは、認知症は「生活習慣病の延長線上」にある病気だから。生活習慣病=認知症の予兆、と考えてみてください。

というのも、生活習慣病の代表である糖尿病や高血圧、メタボなどは、いずれも血管の機能を著しく下げる病気です。全身に血を巡らせる機能が低下すれば、その影響をモロに受けるのは「脳」に他なりません。

40代と言えば、健康診断などで引っかかる人が急激に増える時期です。40代から「認知症予防」に取り組んでほしいと力説する理由の1つについて、納得していただけたでしょうか。

 

老廃物は40代から蓄積される

もう1つの理由ですが、こちらのほうがより納得感があるかもしれません。様々なタイプがある認知症ですが、実は日本での発症例の7~8割ほどは「アルツハイマー型」や「レビー小体型」など、脳に老廃物が蓄積することが原因となるタイプで占められています。そして、この老廃物が溜まり始める時期こそ「40代」なのです。

アルツハイマー型の認知症を引き起こす「アミロイドβ」という物質で、より詳しく説明しましょう。これは本来、記憶を脳に定着させるために必要な物質で、人の体内で毎日生成されているもの。使い終わったアミロイドβは、すぐに代謝されて排出される仕組みです。

しかし、年を取るとこの「使用済みアミロイドβ」を排出する力が弱まり、ゴミとしてそのまま脳内に蓄積されてしまいます。そして、その蓄積量が一定ラインを越えると、次第に認知症の症状が出てきます。

このアミロイドβの蓄積が始まるのが、何を隠そう40歳頃からなのです。そして、20年ほどの長い時間をかけて、蓄積はピークに達します。

研究によると、アミロイドβの蓄積自体は、自覚症状のない段階ですでにピークを迎えることもあるようです。「認知症なんてとんでもない、まだ何の症状もないよ」と思っている方も、脳内を調べてみると、とっくにアミロイドβの蓄積が始まっているかもしれません。

40代・50代のうちは他人事、ではないのです。もう原因物質の蓄積は始まっているものと考え、ぜひ今日から予防を始めてみてください。

 

睡眠は「ゴールデンタイム」を逃さない

では、具体的にどんな対策を取るべきか。まず、最重要事項は睡眠です。

最新の脳科学によると、脳は睡眠中に「少し収縮する」ことがわかってきました。それによって生じるわずかな「すき間」を使って、アミロイドβをはじめとする「余分な物質」を脳脊髄液が洗い流しているというわけです。これを「グリンパティックシステム」と呼びます。

つまり、十分な睡眠こそ「老廃物の排出」のための必須条件ということ。具体的には、最低でも毎日5時間以上の睡眠はマストです。それ以下では、アミロイドβを排出し切るのは難しいとされています。

また、睡眠時間には、体を修復する成長ホルモンが最も分泌されやすい23時~3時の「ゴールデンタイム」を含めるのが理想です。

生活リズムもなるべく一定に保ちましょう。休日に多少のんびりするのは構いませんが、昼過ぎまでずっと寝ているような生活は、認知症予防の観点からもNGです。

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