2019年12月05日 公開
青春キラキラ映画がどうしてこうなった……
――ただ、職人気質のこだわりの強い「濃い人」が多いと、コミュニケーションで苦労しそうですね。
ヤング ポール 確かに、「これをしてください」「はい、わかりました」というやり取りでは、終わりません。割と一癖も二癖もあるというか、「こういうのやりたいんだよね」と言っても、「イヤ、それつまらないだろ」と返ってくることがほとんどです。そうしたスタッフに「面白いじゃん、やってみようよ!」と言ってもらえるかどうか。常に頭を抱えています。
かといって、自分が頼んだことをそのままやってもらっても面白味にかけますし、「じゃあ自分の分身が何人もいればいいじゃん」ってなってしまいます。それはそれでつまらないですよね。
――でも、自分が描いていた完成図から離れてしまうのでは?
ヤング ポール むしろ変わっていくほうがいいんです。完成図よりも大切なのは、作品のもっとコアな部分。「この作品で描くものはこれだ」というテーマさえズレていなければ、表現がどう変わっても問題ありません。
というか、自分よりも圧倒的に面白い発想やアイデアを持っている専門集団と仕事をしているのですから、彼らがやりたいように暴れてもらって、自分が予想もしなかった面白いものができたら、作品はもっと良くなっていくはずですし、そこにワクワクしています。
もちろん、本筋から外れたら議論しますけどね。そこをハンドリングすることに、監督の仕事の醍醐味があるように感じます。ヒリヒリする瞬間ですが。
――気難しいスタッフを動かすコツはありますか?
ヤング ポール わかりません。僕も知りたいくらいです(笑)。人によって違いますし、正解はないですね。同じ言葉をかけて喜ぶ人もいれば、キレる人もいるでしょ。でも、強いて言うなら「これがコツだ」と思わないことかもしれません。それは型にはまることになりますから、目の前の人を見て真剣に対話できなくなってしまいます。
――なるほど。一方で、気難しい職人気質の人は一度通じ合うと、心強い味方に成り得ると思えるのですが、監督は一度仕事したことのあるメンバーと映画を撮ることが多いのでしょうか。
ヤング ポール 僕は新しい人と組むことが多いですね。組によるかもしれませんが。
――意図的に?
ヤング ポール そうですね。違う人と仕事するだけ、その人なりの方法論を盗めるチャンスが増えるということですから。驚きも発見もありますし、成長できるチャンスが増えますね。相手のことがわかってきた段階で「ハイ現場解散」ということも多いので、少し寂しい思いをすることもありますが。
でも、色々な現場を経てどこかの現場で巡りあうと、また組んだときにお互いを刺激し合えます。それも含めて、常に新しい人と組むことがいいのかもしれません。
――ありがとうございます。最後に、映画の見所をお教えてください。
ヤング ポール 青春、恋愛、スプラッター、アクション、ホラーなど、あらゆるジャンルの要素を取り込みつつ、黒沢明という、うだつのあがらない助監督が抑圧にどう戦っていくのかを中心に描いています。負け犬と呼ばれようが、彼が輝く瞬間を肯定的に捉えたところを観て欲しいと思います。
三浦貴大 成海璃子 板垣瑞生 永尾まりや 原嶋元久 寺中寿之 篠原信一 川瀬陽太 柴本幸 森下能幸 手塚とおる 麿赤兒
監督:ヤング ポール 脚本:楠野一郎 ヤング ポール
主題歌:マテリアルクラブ「Fear」
製作:中西一雄 共同製作:根本浩史 プロデューサー:遠山大輔 厨子健介 木滝和幸 アソシエイトプロデューサー:可野修平 ラインプロデューサー:西田敬 音楽:渡邊琢磨 撮影:戸田義久 照明:中村晋平 録音:臼井勝 美術:佐々木記貴 編集:洲﨑千恵子 効果:伊藤克己 整音:星一郎 特殊スタイリスト:百武朋 VFX監督:國米修市 助監督:瀬戸慎吾 斉藤博士 スタイリスト:小磯和代 ヘアメイク:須見有樹子 制作担当:木村和弘 スチール:古矢優 宣伝プロデューサー:小口心平 制作プロダクション:セディックインターナショナル マグネタイズ 制作協力:広尾メディアスタジオ
製作:カルチュア・エンタテインメント TSUTAYA Digital Entertainment 配給:S・D・P
©2019「ゴーストマスター」製作委員会 ghostmaster.jp
2019年/日本/カラー/シネマスコープ/R-15マーク
12月6日(金)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
更新:11月25日 00:05