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社長が自分の想いを押しつける会社は、沈む

2019年12月31日 公開
2024年12月16日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

 

社長の夢と従業員の夢は違う 

経営者が思い描く会社の夢というのは、「いつまでに売上をどのくらいまで伸ばして、このくらいの規模の会社にしたい」「会社を上場させたい」といったことが多いです。そうすることが従業員もうれしいだろうと思っている経営者がいますが、経営者の夢と従業員の夢というのはかけ離れているものです。上場して、社長の持ち株の値段が上がろうと、従業員にとってはそんなことは興味のないこと。ワクワクすることでもうれしいことでもないのです。

それが分からない社長は、自分の想いを押しつけます。

それでは社員のモチベーションは上がらないと気づいている社長は、もっと従業員と共有できる夢を考えます。

働きがいがあるということが大前提ですが、例えば、「資金に余裕ができたら、社費で海外留学のチャンスを提供します」「研究施設を作ります」と言う。「そのためには、これくらい利益を出すことを目指したい」ということであれば、社員も売上向上に励むことができます。

「社員食堂を充実させます」「社員向け住宅ローン制度を設けます」でもいいでしょう。

社員がかなえてほしいと思うような提案をすることで、夢を共有し、士気を高めていくことができます。

 

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得。91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年、名古屋大学経済学部客員教授に就任。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。著書に『「金利上昇」に勝てる経営』(ビジネス社)ほか多数。

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