THE21 » キャリア » 社長が一人でしゃべりまくる会社は、沈む

社長が一人でしゃべりまくる会社は、沈む

2019年12月24日 公開
2024年12月16日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

「アイデア社長」はなぜいけないか

「アイデア社長は会社をつぶす」と喝破したのは一倉定先生です。

会議で独演会をやるような社長は、思いつきでいろいろなことを言います。

「こんなのどうだ、いいアイデアだろう」「どうしておまえたちはこういう発想ができないんだよ」などと、自分のアイデアがさも素晴らしいものであるかのように言います。

部下にもアイデアはあるのですが、言わないだけなのです。そういうワンマン社長の前でアイデアを言って、変に責任を取らされたくないのです。

社長であっても、どんな人のアイデアも、仮説です。ビジネスでは何が当たるか当たらないかはやってみないと分かりません。ただ、そのアイデアが通用しそうなものかどうかの仮説検証をやることで、失敗の確率を下げることはできるわけです。

しかし、社長が出したアイデアは仮説検証しようとは部下は言いにくく、客観性の乏しい思いつきが突っ走ることになります。これは社長が自覚していないといけないことです(中には、自分が出したアイデアを忘れてしまって、部下だけがその後右往左往する会社もあります)。

社長のアイデアも、一般社員のアイデアも、みんな同列で同じように俎上に上げられて議論されるのであればいいのですが、自分でアイデアを次々出して、それを社員にやらせようとする社長はワンマンですから、なかなかそうはならない。そんなアイデア社長の会社は危ない、つぶれるよ、というわけです。

社員から意見、アイデアが出やすくするためには、方針をきちんと示した上で、

・上の立場の人はできるだけ聞き役に回ること
・トップは、意見を最初か最後など、決められた時間(数分間)だけ話すこと
・すべてのアイデアを同列に「仮説」だと考えること
・どんな案にも否定的なことは言わないこと

 などをルール化することです。

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得。91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年、名古屋大学経済学部客員教授に就任。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。著書に『「金利上昇」に勝てる経営』(ビジネス社)ほか多数。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

「回転寿司」から、他にどんな「回転○○」のアイデアを出せるか?

〈連載第4回〉細谷功(ビジネスコンサルタント)

いい企画が生まれて広がる「アイデア会議」のススメ

加藤昌治(博報堂PR戦略局部長)

アイデアの種が生まれる「5冊同時併読」読書法

嶋 浩一郎(博報堂ケトル社長)