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社長が一人でしゃべりまくる会社は、沈む

2019年12月24日 公開
2024年12月16日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

社長は聞く耳を持っているか

小宮一慶

例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができるが、それは「誰か」の知見やものの見方だ。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事だと、経営コンサルタントの小宮一慶氏は言う。具体的には、どこをどう見ればいいのか。一例を教えてもらった。

※本稿は、小宮一慶著『伸びる会社、沈む会社の見分け方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

 

独裁はするが、独断はしない

その場でもっとも権力を持つ人が、独演会のようにしゃべりまくる会議は、間違いなくダメな会議です。とくに創業社長、オーナー経営者にありがちですが、トップがいろいろ言ってしまったら、誰も意見を言わなくなります。

会議を話し合いの場として機能させたいと思っている経営者は、言いたいことが山ほどあっても、自分はできるだけ黙っていて、「聞く」ことに集中しようとします。

 かつて近鉄グループで名経営者と言われた佐伯勇さんという方は、「独裁はするが、独断はしない」という名言を残しています。

佐伯さんは、決まったことをきっちりと実践するために「独裁」はするけれど、決めるにあたっては、社内の「衆知」を集めることをモットーにしていたといいます。

すなわち、聞く耳を持つ、ということ。そしていろいろな意見、考え方を集約した上で、判断する。だから「独断」ではないわけです。

 

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率直にもの申してくれる部下がいるか >

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院にてMBA取得。91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年、名古屋大学経済学部客員教授に就任。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。著書に『「金利上昇」に勝てる経営』(ビジネス社)ほか多数。

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