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OB訪問で社員が「ここ」で言葉を濁す会社は、沈む

2019年12月17日 公開
2023年02月24日 更新

小宮一慶(経営コンサルタント)

先輩に必ず尋ねたい3つのこと

小宮一慶

 例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができるが、それは「誰か」の知見やものの見方だ。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事だと、経営コンサルタントの小宮一慶氏は言う。具体的には、どこをどう見ればいいのか。一例を教えてもらった。

※本稿は、小宮一慶著『伸びる会社、沈む会社の見分け方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

 

お客さま第一、理念の共有、働く楽しさがそろっているか

 就職活動で先輩のいる会社を訪問するなら、次の3つの質問を必ずするべきです。

 

1、大切なお客さまのことを、さん付けしているか、呼び捨てにしているか

 これは、「お客さまを大事にする」という姿勢が本当に周知徹底されているかを見る目安となります。

「御社のいちばん大きなお取引先さんはどこの会社ですか?」と聞いたとき、普通、ビジネスパーソンは「○○会社さんです」とさん付けして答えます。対外的な場ではそう呼ぶはずです。

 ところが、学生の前だからといって、それを呼び捨てにするということがあれば、社内の会議などではそう呼んでいるのだと考えられます。いちばん大事な取引先、その会社のおかげで自分たちの会社があるのに、陰では文句を言ったり悪口を言ったりして、お客さまの前に出たら、へいこらするような会社もあります。お客さまを大事にしているかどうかは、言葉遣いにまず現れます。

 あるいは、相手が学生だと思って、油断しているということもあるかもしれません。

 つまり、その答え方の中に、「取引先に対する敬意があるか」ということと、「会社訪問の学生に対しても、対等な感覚で接しているか」という二つの姿勢が分かるのです。

 

2、企業の経営理念やビジョンを、手帳などを見なくてもすらすら言えるか

 理念やビジョンとは、その会社が「どういうかたちで社会に貢献していこうとしているか」「自社は何になりたいか」「どういう考え方で経営しているか」を簡潔にまとめたものです。

 これが浸透している会社は、軸がブレにくいのです。みんなが、会社の存在意義や進むべき方向を意識できているからです。会社全体のことを考えている、と言い換えることもできます。

 それは会社の規模が小さくても大きくても、歴史のある会社でも新興の会社でも同じです。

 ですから、「理念やビジョンを聞かせてください」と言って、社員がさっと口にできるようであれば、社員に会社の存在意義が浸透しているということ。口ごもってしまって言えない場合は、それが曖昧な会社であるか、それらが徹底されていない会社か、あるいは理念浸透の大前提である、働きがいを感じていない可能性があるのです。

 

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著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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