2019年10月18日 公開
2020年01月15日 更新
加えて、労使間の関係も大きく異なる。かつてゴーン氏が日産の工場を訪れたとき、従業員はゴーン氏を救世主か英雄のように熱狂的に歓迎し、着ていたシャツにサインを求めたりした。フランスのルノー工場に限らず、他の大手企業の従業員では、そのようなことはまず起こり得ない。経営者と被雇用者の間には深い溝があるからだ。
ゴーン氏の改善活動は確かに見事なものだったが、こうした日本人社員の土壌によって支えられていたのである。そのため、同じように旗を振ったところで、ルノーでは社員の抵抗もあり効果が上がらなかったということだろう。
ゴーン氏はフランスから日本に来ると、とたんに元気になったというが、それもうなずける話である。
ともあれ、ゴーン氏の「名経営者」という肩書は、あくまで限定的だと言わざるを得ないのである。
更新:11月25日 00:05