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ルワンダ人に大金を貸したら、奇跡が起きた話(ケニア/ルワンダ)

2019年09月17日 公開
2020年04月07日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(46)石澤義裕(デザイナー)

ルワンダ青年に勝手にお金を貸し付ける


虐殺の孤児を育てた女性。水道のない家に、水を売っています。

そして、次のところがとても重要なポイントなので、お目目をぱっちり開いて読んでください。

我が家からお金を借りたルワンダ青年は、ひと言もお金を貸してくれと頼んでいません。

それどころかほとんど会話もしたことがないので、民泊のオーナーと客以上の関係になく、ほぼほぼ他人。愛も友情もないです。

拙者が突然ひらめいて、

「君ん家、裏に廃墟があるよね。あれを改築したら、民泊として貸せるんじゃないの?」

「お金がないなら貸そうか?」

「月々の売り上げから返してくれればいいし」

勝手に事業計画を立てて、提案したのです。

寝耳にミミズを食らったくらいに驚いた青年は、

「第3者を立てて、正式な借用書を交わすなら、借りてあげないこともないです」

思いっきり警戒していました。

「もし本当にお金を貸したいなら、すぐに借用書を作ってください」

指図されてしまいました。

フィリピンの英語学校に4回も通ったほどに英語が苦手ですから、2日くらいかけて借用書を書きあげます。

どうでしょう、こんなんで?

「この文章は意味不明です」

「ここもあそこも変です」

「そもそもこんな大金を一度に銀行から引き落とせますか?」

銀行口座すら持っていない無職のルワンダ人だというのに、新宿歌舞伎町のビジネス最前線で命を張っていた拙者より、はるかに仕事ができるじゃないですか!

いくども書き直しては再提出しますが、その都度ダメ出しをする妥協なきアフリカ人。

いるんですね、そんな人が。

結局、面倒臭くなって借用書をほったらかしたまま、お金を貸してしまったのです。

口約束だけで、日本の大卒初任給の3ヶ月分も。

 

毎月、月収の2倍以上もの大金が、催促なしで

返済が始まってすぐに、ビザが切れるのでウガンダへ移動しました。

返済日になっても催促電話すらかけられません。あるとき払いの催促なしです。

機嫌を損ねて絶交でもされたら元も子もないと、メールもしない放置プレイ。

「そんなお金、返ってくるわけないじゃん!」

「馬鹿なの?」

読者諸兄の呆れ顔が、目に浮かびます。

拙者も正直、そうとうなおバカさんだと自画自賛していました。

ところが驚くなかれ、毎月、お金が送られてきたのです。

彼らの平均月収の2倍以上ものお金が。

毎月ですよ!

2倍以上ですよ!

催促していないんですよ!

そして先月、あろうことかとうとう完済してしまいました。

これを奇跡と呼ばずして、何をミラクルと呼んだらいいのでしょう?

 

「ルワンダの奇跡 令和編」を引き起こしておきながら僭越ですが、ケニアのどこかに軽自動車の部品はありませんかね?

奇跡、募集中!


ひとり親方の大工さん。持参の道具は金槌だけ。ほかは施主から借ります。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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