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できるリーダーは「メールにすぐに返信しない」

2019年09月06日 公開
2023年02月24日 更新

吉田幸弘(リフレッシュコミュニケーションズ代表)

リーダーになると、メールを受信する量も増えてくる。別部署とのやりとりも増えるし、部下からのメールや、ときにはCCのメールが入ってくることもあるだろう。人によっては、1日あたり数十件、いや数百件受信している人もいるかもしない。こんなとき、メールはなるべく早く返すべきと考えている人は少なくないが……。

※本稿は、吉田幸弘著『リーダーの「やってはいけない」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

「お客様のために即返信」をルールにした結果

かつて、私が営業マネジャーになりたての頃も、「お客様に喜ばれるために、どこよりも早く対応すること」をビジョンにして、メールは即返信を心がけていました。

しかし、メールにばかり対応していると、仕事がなかなか進まなくなってしまいます。

ある日のこと、15時から部下のA君と打ち合わせをすることになっていました。15時になったので、「そろそろ始めようか」と、A君に声をかけました。

A君が立ち上がろうとしたその瞬間、「あっ、T社の担当からメールが来ました。ちょっと急いで返しますね。5分したら行きますから」と、ひと言。

しかし、その後、5分待っても、10分待ってもA君は来ません。しびれを切らして呼び

にいくと、「T社の担当から、細かく質問が入ってしまって……」とのことでした。

このように、「どこよりも早く対応すること」をビジョンにしていた私のチームでは、A君に限らず、常にみんながメールを気にしている状態になってしまっていました。

会議が終わればメールチェック。ランチから帰ってきたらメールチェック。とにかく、メールに追われていました。

中でも大きな問題だったのは、企画書の作成やアイデア出しなどのクリエイティブな仕事は、営業時間中にほとんどできない状態になってしまったことです。

常にメールを意識している職場だと、集中して取り組んでいた仕事がメールで中断されると、元の状態に戻るのに時間がかかってしまいます。

仮に一度のメールの確認・返信でムダにしている時間を5分とすると、メールチェックを1日20回したら、それだけで合計100分も時間をロスしていることになります。

 

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著者紹介

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)

リフレッシュコミュニケーションズ代表

成城大学卒業後、大手旅行会社、学校法人を経て、外資系専門商社へ転職。メンバーとのコミュニケーションに苦心し3度の降格人事を経験、クビ寸前の状態になる。その後、異動先で出会った上司から「伝え方」を学ぶことで営業成績が劇的に改善、マネジャーに返り咲く。現在はコンサルタントとして独立し、累計3万人のリーダーを育てている。

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