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役所代わりのネットカフェで、ジンバブエ人にされる(ケニア)

2019年08月08日 公開
2023年05月16日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(45)石澤義裕(デザイナー)

ネットカフェが税務署代わり!?


レストランのシェフ。東京に連れて帰りたいくらいの腕前ですが、お客さんが1日にふた組みくらいしか来ない。

職員の道案内を断り、自力でオフィスを発見しました。

これはさらっと言いましたが、ものすごくたいへんなことだと思うのです。

なんせ極東の端っこからヨーロッパとアフリカを縦断して、ケニア人の職員ですら知らない隠れ家みたいなオフィスを見つけ出したのですから。

……といったことは顔に出さず、担当者に用件を伝えると

「窓口はここです」

「ですが、申請は税務署の向かいのネットカフェでしてください」

窓口はここなのに、申請はここじゃないっ!

しかも国にお金を払うのに税務署じゃなくて、ネットカフェ?

ぜんっぜん意味がわからないシステムですが、気にしては負けです。

書類さえもらえれば、しょせん、すべては小さなこと小さなこと。

 

ケニアのパソコンには、ジャパンのジの字もない

お経を唱えながらネットカフェを覗くと、正真正銘のネットカフェ。

受付には、アルバイトにしか見えない青年。

「車の書類? ここだよ、どこから来たの?」

Japanです。

「J、J、J……。Japanなんてないよ」

パソコンを叩きながら、

「Japanって、どこの国?」

青年のパソコンを覗くと、国名がアルファベット順に並んでいますが「I」の次は「K」。

Japanどころか、JamaicaもJordanもないケニアのパソコンです。

念のためにTOYOTAとかSONYを探してみましたがもちろんありません。

どうしたものかと絶望していたら、

「ジンバブエでもいいよね?」

驚くほど「どうでもいい」提案をしてくれました。

せめて中国とか韓国じゃないですかねこの顔は、と思ったものの時すでに遅し。

それからというもの、ジンバブエ代表としてハンドルを握っています。

あっちこっちに警察の検問がありますから、お題目でも唱えないと発狂しそうです。

しょせん、すべてはどうでもいいこと。

生きるうえで大切です。


キャンプ場のお手伝い。将来の野望は子牛を3頭買って、独立すること。子牛は1頭2万円です。

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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