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ソリューション型営業はもう古い!

2019年06月25日 公開
2023年03月02日 更新

高橋研(アルヴァスデザイン代表取締役CVO)

 

これから求められるインサイトセールスとは?

 では、これからの営業職は、どんな付加価値を提供するべきなのか。私は、課題解決型営業の次に来るのは、「インサイトセールス」だと考えています。

 インサイトセールスとは、お客様が目指している姿、大事にしていることを正しく理解し、それの実現を支援していく営業のことです。

 課題解決型とインサイトセールスの違いは、次の二つの問いの違いを考えると理解しやすいでしょう。

(1)「お客様は何に困っているのか?」
(2)「お客様は何を目指しているのか?」

 課題解決型では、(1)の観点で顧客理解を深めます。

 しかし、「困っていること」というのは、日々、変化するものです。完璧なソリューションを用意して、次の商談に持参しても、「その問題はもう解決したんですよ」とか「状況が変わりまして」と言われてしまうことが少なくありません。

 では、(2)の観点はどうでしょうか。これは、企業の根幹であるビジョンや戦略についての問いですから、頻繁に変わることはありません。

 例えば、店舗に紙コップを売る営業職が、「コストを下げたい」というお客様の課題を聞いて、そのソリューションとして安い紙コップを提案するのが、課題解決型の営業活動です。

 一方、「忙しい女性が幸せを感じられる、地域でナンバーワンの店にしたい」というようなお客様のビジョンを聞くのが、インサイトセールスです。

 そして、「女性に心地良く過ごしていただけるデザインや素材の紙コップです」などと、そのビジョンの実現に役立つ商品として、紙コップを提案するのです。そうすれば、間違いなく、お客様は興味を持って提案を聞いてくれるでしょう。

 つまり、課題解決型営業とインサイトセールスでは、同じモノを提案するのであっても、意味づけの仕方が違うわけです。

 

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著者紹介

高橋 研(たかはし・けん)

〔株〕アルヴァスデザイン代表取締役CVO

1974年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了後、〔株〕ファンケルに入社し、製品開発およびマーケティング業務に携わる。2004年、〔株〕ア・キューブに入社。06年にエム・アイ・アソシエイツ〔株〕へ移ると、自社の営業活動とともに、研修講師やコンサルティング業務も兼務しながら、約2万名の営業人材開発に関わる。13年、〔株〕アルヴァスデザインを創業。年間約500回の営業研修や営業プロジェクトに携わる。著書に『AIに駆逐されない営業力 実践!インサイトセールス』(プレジデント社)がある。

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