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乱立するキャッシュレス決済サービス。結局、生き残るのは?

2019年05月08日 公開
2023年03月02日 更新

山本正行(山本国際コンサルタンツ代表)

話題の「QRコード決済」、そのメリット・デメリット

 昨年、次々にQRコード決済サービスが登場し、大きな話題となった。また、政府が「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げる」という目標を発表し、キャッシュレス決済全体への関心も高まっている。あまりに多くのサービスが乱立し、わかりにくい状況になっているキャッシュレス決済サービスの現状とこれからについて、専門家に解説してもらった。

 

様々な電子マネーが共存するのは日本だけ

 今、メディアを賑わせているのはQRコード決済ですが、実際にキャッシュレス決済の中心になっているのは、依然として、VISAやマスターカード、JCBなどのクレジットカードです。

 次いで、よく使われているのが、電子マネー。JR東日本が発行しているSuicaなどの交通系ICカードや、イオンリテールのWAON、セブン&アイ・ホールディングスのnanacoなどがあります。

 海外でも各地に乗車券として使われているICカードがありますが、電子マネーとしても使えるケースは限定的です。「支払いはクレジットカードですればいい」という考え方だからでしょう。日本のように様々な電子マネーが共存し、利用されている国は、他にあまりありません。

 キャッシュレス決済を「現金以外の決済方法」という広い意味で捉えると、大学生よりも若い人たちの間で、iTunesギフトカード(コード)やGoogle Playギフトカード(コード)の利用がかなり広がっています。大学生だと半数くらいはクレジットカードを持っているのですが、それは使わず、これらのカードを使っている人も多くいます。

 また、NTTドコモやau、ソフトバンクのキャリア決済を利用する人も増えています。

 

国際ブランドのデビットカードも増加中

 VISAのデビットカードも、近年になって利用が増えています。

 日本はもともとデビットカードが少なかったのですが、15年ほど前からVISAが普及のための取り組みを進め、楽天銀行などのネット銀行やスルガ銀行がVISAのデビットカードを出し始めました。5年ほど前からは、メガバンクや他の地銀も口座開設者に対してVISAやJCBのデビットカードを発行するようになり、利用が拡大しています。

 デビットカードは銀行口座と紐づけられていて、決済をすると即時に口座から代金が引き落とされます。クレジットカードと違って審査がないので、利用者にとって作りやすいカードですし、支払いが滞って個人信用情報に載ったりするリスクもありません。

 VISAやマスターカードのプリペイドカードも、通信キャリアが契約者に配り始めたことで、発行枚数が増えています。

 

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著者紹介

山本正行(やまもと・まさゆき)

山本国際コンサルタンツ代表

1963年生まれ。東京都出身。2009年に山本国際コンサルタンツを設立。あらゆるキャッシュレス決済サービスの仕組みやビジネスを専門にコンサルタントとして活動。行政のアドバイザーなども務め、法制度にも詳しい。日本経済新聞社運営のWebサイト「リテールテックJAPAN」のキャッシュレスに関するコラムの他、専門誌への執筆も多い。近著に『カード決済業務のすべて』(金融財政事情研究会)、監修書に『60分でわかる! キャッシュレス決済 最前線』(技術評論社)がある。

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